【農林水産省】台湾が福島産品の禁輸解除 日本にTPP支援を期待
財界オンライン / 2022年3月17日 11時30分
農林水産省は、台湾が2月21日に福島など5県産の食品に対する輸入禁止措置を大幅に解除したと公表した。環太平洋経済連携協定(TPP)への早期加入を目指す台湾が、日本の支援を得るため、世論の一部に抵抗感が強い規制緩和という交渉カードを切った。日本にとっては食品輸出の拡大に追い風となる。
台湾が東京電力福島第1原発事故を機に始めた規制を緩めるのは今回が初めて。5県産のコメや野菜、水産物など多くの品目が台湾への出荷が可能となった。ただ、5県産の食品を受け入れる際、放射性物資検査報告書と産地証明書の添付を求めるほか、5県産のキノコ類などの輸入停止といった規制は続ける。食品の安全性に敏感な世論に配慮したとみられる。
金子原二郎・農水相は、台湾の決定について「被災地の復興を後押しするものだ」と評価。その上で、日本産食品の安全性は担保されているとして、「あらゆる機会を捉え、早期の規制撤廃へより一層働き掛けていく」と決意を述べた。
原発事故に絡んだ規制を導入した国・地域は最大55に上ったが、昨年の米国の撤廃を受け、現在は14まで減った。規制が残る14カ国・地域には中国や韓国、台湾など日本の主要な食品輸出先が含まれる。
中台韓はいずれもTPP入りを希望している。TPPのルールは、食品の輸入制限には科学的な根拠が必要で、最小限に抑えることなどを求めている。ただ、中台韓が実施している規制はTPPルールに抵触する。
そのためTPPに入るには、科学的根拠に基づかない輸入規制を全廃することが求められる。現に、TPP加入を目指して日本などと交渉を進める英国は、規制を撤廃する方針だ。
日本は台湾の緩和やTPPなどをてこに中韓にも規制撤廃を迫る考え。しかし、中国は規制を継続する意向を既に表明しており、日本との関係改善の兆しが見えない韓国とは対話の機会すら持てないのが実情。当面は膠着状態が続く見通しだ。
【農林水産省】農産物の輸出額が過去最高 一方、5兆円の目標は遠く
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