【ウクライナ問題】追い詰められるロシア、経済混乱も深刻に
財界オンライン / 2022年3月15日 18時0分
経済制裁の「核オプション」SWIFT遮断の効果は?
「まさに狂気の沙汰。核兵器を脅しに使っているし、これから先が全く読めない」とは某経済人。
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ロシアはウクライナに侵攻し、軍事力で国際秩序を破壊した。3月2日現在、停戦交渉も続くが、ウクライナの非武装化を要求するロシアの主張は現実味がなく、折り合っていない。ただ、元々が大義のない侵攻の上、ウクライナ国民の強い抵抗に遭い、ロシア軍の士気が相当落ちているという話も伝わる。
日・米・欧は軍事力をもってロシアに対峙することはできないため、経済制裁で対抗。中でもロシアの大手銀行を国際決済網「SWIFT」(国際銀行間通信協会)から遮断する制裁は「金融版核オプション」とも呼ばれる。同時に、ロシア中央銀行が持つ外貨建資産も凍結、ロシアの為替介入を困難にさせた。これらの策は、その効果と共に副作用もあり、覚悟が必要だ。
当初、SWIFT遮断は、欧州各国が天然ガスなどのエネルギー供給をロシアに依存していることから、「そこまで踏み込まないのではないか」という見方も強かった。SWIFTは世界の1万超の金融機関が送金データなどをやり取りする国際インフラ。世界で1日あたり約4200万件の送金情報を扱う。ロシアの金融機関はほぼ国際間の決済ができなくなる。
SWIFTからの排除はイランの核開発計画で緊張感が高まった12年と18年にも実行された。18年には国際金融網から締め出されたイランの通貨・リアルは6分の1に暴落、原油などの輸出も3分の1に落ち込むなどの経済的打撃を受けた。
一方、副作用もある。3メガバンクや国際協力銀行など日本の金融機関のロシア向け与信残高は21年9月末時点で約1.1兆円あるが、これら多額の融資が不良債権化しかねない。ただ、ロシアへの制裁の効果を出すためには〝返り血〟も覚悟する必要がある。
そして世界は「次のリスク」に備える。米バイデン大統領は台湾に代表団を派遣、台湾海峡の平和の重要性を強調し、中国を牽制した。中国が軍事力で台湾を飲み込む事態にならないためにも、ロシアを抑え込むことが日・米・欧に求められている。
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