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『パナソニック』が4月から持ち株会社発足 専務や常務を廃止

財界オンライン / 2022年3月24日 11時30分

楠見雄規社長

4月から持ち株会社制に移行するパナソニックの、傘下事業会社を含めた新体制が固まった。目玉は二つ。一つが、持ち株会社であるパナソニックホールディングスは、役員体制で「専務」「常務」をなくして社長、副社長、執行役員のみとし、グループ監視機能に集中、徹底的に事業会社に権限を委譲すること。もう一つが、2023年度入社の新卒採用から、事業会社で採用選考をするとしたこと。

 21年6月に就任した楠見雄規社長が繰り返す「事業の専鋭化」のための体制で、競争力をつけるのが狙いだ。「当初2年間のスタートダッシュがカギ」(40代社員)とみられている。

 パナソニックは、08年に松下電器産業から社名変更して以降、組織の在り方が著しく変遷してきた。「事業部制廃止と子会社の統合の後に社内分社と事業部制の考え方に戻り、ダッチロール状態だった。持ち株会社制移行により後戻りができない」(50代幹部)ことになる。

 それを明確に印象付けたのが新たな新卒採用制度。23年春入社からは、事業会社ごとに選考する。グループ全社で、大学・大学院卒と高専・高校卒を合わせて22年春入社並みの約1100人を採用する計画だが、これまでパナソニックに応募してきた就活生は、どの事業会社で働きたいのか自分で判断してから、それぞれの会社に応募することになる。

 初任給に差が出るのかは現時点では未定だが、「3年後に各社で処遇に差がつくくらいでないと、独立性が高くなったとはいえない」(役員OB)。

 「専鋭化」のための「持ち株会社制への移行」は、津賀一宏前社長(現会長)が、在任最終期に打ち出したものだった。楠見社長は、津賀氏が曲折の上にたどりついた結論を実現するために指名された。新体制は、21年秋から事実上動き出していたが、法人格も整理して明確になるのは今年4月から。

 事業会社を超えた協業はどうなるのか、巨額投資をするとき持ち株会社はどれくらい関与するのか――はまだ見えない。「案じれば切りがないが、過去20年、まったく成長できなかったことを考えれば、荒療治しかない。期待している」(同)との応援歌が聞こえている。

グループ再編も一区切り 日立の東原会長がCEO退任へ

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