『初の商社出身』日商次期会頭に三菱商事の小林会長が就任へ
財界オンライン / 2022年3月23日 11時30分
経団連副会長や日本貿易会会長を歴任
日本商工会議所は、三村明夫会頭(81、日本製鉄名誉会長)の後任に、三菱商事の小林健会長(73)を充てる人事を内定した。9年ぶりの交代で、総合商社出身の会頭は初めて。11月の会員総会を経て就任するが、原材料価格の高騰や収束が見えぬ新型コロナウイルス禍、不透明感を増す国際政治・経済情勢など難局が待ち受ける。
三村会頭は、小林氏の選任理由について「グローバルな視点を持ち、スタートアップ企業もよく知っている人が望ましい」と話す。
2013年に就任し、異例の3期目に入っている三村会頭が目下、至上命題とするのは中小企業の生産性向上だ。その実現には、中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や、下請けへのしわ寄せが長らく問題となってきた日本のサプライチェーン(供給網)における取引価格の是正は避けて通れない。
今回、そうした日本の産業構造転換の旗振り役を、製造業の出身者ではなく、商社出身の小林氏に託した格好で、サプライチェーンの頂点に君臨する大手メーカー主導の改革の限界も感じさせる。小林氏はコメントで「生産性向上や事業再構築など中小企業の自己変革を後押しする」と意欲を示した。
小林氏は経団連副会長や日本貿易会会長を歴任するなど、財界活動の経験は長い。今年4月1日付で三菱商事の会長ポストを、垣内威彦社長(66)に譲り、自身は相談役となる予定。経団連の審議員会副議長ポストも6月には垣内氏にバトンタッチし、万全の準備で就任に臨む。
三菱商事は現在、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の継続の可否という難しい選択を迫られている。今後もロシアや中国に対して「政経一体」での対応を求める圧力が国内外で高まるとみられ、商社出身の日商会頭の発言は否が応でも注目される。
また、ウクライナ情勢を受けて一段と加速する原材料価格の高騰は、中小企業に深刻な打撃となる。逆風下で生産性向上に向けた環境を整備できるか、小林氏の手腕が問われそうだ。
【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 元防衛大臣・森本敏
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