【財務省】露のウクライナ侵攻長期化で 危機感が薄い」と大臣に批判
財界オンライン / 2022年3月22日 11時30分
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化で、世界経済の失速と日本経済への波及が確実視される中、経済と財政運営を担う鈴木俊一財務相の対応に「危機感が薄い」(自民閣僚経験者)との声が出ている。
野党にもかかわらず、2022年度予算案に賛成した国民民主党が、ガソリン税の一部を減税するトリガー条項の凍結解除を求めているが、仮にトリガーが発動されれば国税の大幅減に直面しかねない。そうした状況にもかかわらず、記者会見では事務方の答弁を読むだけだ。
財務省幹部は「今も財務相は麻生(太郎自民副総裁)さんだから」と言ってはばからないが、グローバル経済下で財務相の発信力欠如は、日本の存在感低下を招きかねない。
3月4日の閣議後会見で、鈴木氏は原油高対策を問われると「国民生活への影響緩和を一番に求められている」と指摘。原油高騰の長期化への対応についても「効果的な対策について不断の検討を行うのが大切」と述べるにとどめた。
同日にはウクライナのコルスンスキー駐日大使と会談したが、会談後の記者団の取材に対して鈴木氏は会談内容について「日本の人道支援に感謝の言葉があった」「先進7カ国(G7)をはじめ国際社会と連携して進める」と言及するだけだった。
コルスンスキー氏が鈴木氏訪問後、日本への謝意とともにロシアのウクライナ侵攻に関し「今のロシアは全世界から受け入れられない」と訴え、ロシアの原発への攻撃を英語でまくしたてて抗議した姿とは対照的。
鈴木氏は岸田文雄政権の掲げる「新しい資本主義」を担う閣僚の1人だが、首相が打ち出した金融所得課税の強化は財界からの反発で事実上棚上げされるなど、いまだに「新しい資本主義」の全体像はわかりにくい。
ウクライナ情勢の緊迫化で今後、企業収益が悪化するのは避けられず、首相が重視する賃上げもままならない可能性が高い。歳出改革も手つかずのままだ。9日に社会保障政策を点検する全世代型社会保障構築会議が始まったが、社会保障体制は財政運営に直結するが、同会議の論点整理でも鈴木氏の関わりは薄い。
「お飾り」(経済官庁幹部)との評価が定着しつつある鈴木氏が、財務相の重責を担うことは国益にかなうのか。周辺では、そうした声まで出始めている。
【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 元防衛大臣・森本敏
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