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【国土交通省】鉄道運賃の抜本見直しを議論 オフピーク定期券などが課題

財界オンライン / 2022年3月25日 11時30分

新型コロナウイルスの感染拡大などに伴う社会情勢の変化を踏まえ、国土交通省が鉄道運賃制度に関する見直しの議論に着手した。事業者からは、混雑時を避けると安く利用できる「オフピーク定期券」の導入や運賃改定手続きの簡素化などの要望が出ており、検討課題となりそうだ。

 同省は新たに立ち上げた有識者らによる委員会で事業者や消費者団体などから意見を聴き、今夏をめどに一定の結論を取りまとめる方針だ。

 現行制度では事業者の要請を受けて国が料金の上限を認可し、その範囲内で事業者が割引運賃などを設定する。鉄道各社はコロナ禍に伴う旅客需要の落ち込みに加え、防災、犯罪防止やバリアフリーなどの対策で新たな投資を迫られ、経営を安定させるために運賃を柔軟に見直せる仕組みづくりを訴えている。

 現在の制度は1999年の法改正で定められたため、抜本的な見直しが実現すれば二十数年ぶりとなる。

 JR東日本は委員会の席上で、オフピーク定期券の来春導入を目指す意向を明らかにした。

 朝のピーク時の通勤定期券を値上げする一方でラッシュ時を避ければ安くし、総収入は増えない仕組みを想定。混雑を緩和して利便性を高め、新型コロナの感染防止にもつなげる狙いがある。

 JR東日本の深澤祐二社長は「コロナ禍で働き方や暮らし方、乗車スタイルが変わる中、柔軟なサービスを提供したい」と話す。

 これまでの議論では、全国の私鉄でつくる日本民営鉄道協会が大規模自然災害の復旧費用などに充てるため、各社が平時の運賃を上乗せして必要な資金を確保する制度を提案。

 東京メトロは、現行制度で運賃を認可する際に安全・サービス向上の費用が十分に考慮されていないとして、必要な投資を行う意欲が阻害されてしまう懸念があると訴えた。

 また、一部の自治体からは、JRの地方路線について、都市部よりも運賃が高い場合があるにもかかわらず、駅設備や車両などの面で見劣りすると指摘した上で、都市部で得た利益を地方路線の整備に充てられる仕組みの検討を求める声もあった。

 斉藤鉄夫国交相は「より良いサービスを持続的に提供できる方向性を打ち出したい」と話し、活発な議論を期待している。

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