【JAL】KDDIなどと医薬品配送のドローン実験
財界オンライン / 2022年3月17日 7時0分
ドローンを使ったビジネスの商用化が近づいている。東京・江東区にある医薬卸のメディセオの物流拠点から医薬品を乗せて出発したドローンが高層マンションの間を通り抜け、隅田川上空を飛行しながら3つの橋を渡って中央区の聖路加国際病院の近くの川岸に着陸。距離は約2キロだが、10分程度。車で運搬するよりも大幅な時間短縮だ。
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このドローンによる医薬品配送の実証実験を行ったのが日本航空(JAL)とKDDI。都内で3つの橋を越えてドローン配送をする実証実験は初のこと。JALデジタルイノベーション本部エアモビリティ創造部マネジャーの田中秀治氏は「1機につき1日10回配送できるため、安全かつ効率的に運搬できる」と手応えを語る。
ドローンによる医薬品の配送が実現できればメリットは大きい。ドローンを使えば災害などの有事でも車の代わりに薬を医療機関に届けることができる。また平時でも緊急性の高い希少疾患の薬の輸送などにも使える。医薬品卸にとっては輸送にかかる人件費を削減したり、ドライバー不足の解決にもつながる可能性を秘める。聖路加国際病院薬剤部長の後藤一美氏は「災害時や平時において、重要な医薬品を安全に供給できることに非常に期待が持てる」と語る。
JALとKDDIは22年2月にドローンの安全な飛行に必要な運航管理体制の構築を目指して業務提携を発表。KDDIが携帯通信を使ったドローンの飛行や運航管理システムを担当し、JALが運航手順の策定などを担う。田中氏は「想定される空のリスクや24時間体制で航空機の運航を管理するといった当社がこれまで積み上げてきたノウハウが生かせる」と話す。
同社は本業である航空旅客がコロナ禍で苦境に立たされているだけに、ドローンを新たな収益の柱に育てたい考え。両社は22年12月頃に解禁予定の有人地帯での補助者なしの目視外飛行「レベル4」に向けて、医薬品配送のドローン物流サービス構築を検討する方針だ。
ただ、ドローンを活用したビジネスはIT企業や物流企業など他業種にわたって参入が見込まれる。何よりも「安全」の担保も欠かせない。独自の価値と強みを打ち出せるかが今後のカギを握ることになる。
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