【ミャンマー撤退】キリンHDが健康関連事業で需要掘り起こし
財界オンライン / 2022年3月22日 18時0分
「何が何としても解決しなければならなかった。不退転の決意だ」─。こう苦渋の表情を示すのはキリンホールディングス(HD)社長の磯崎功典氏だ。
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同社は2月14日、ミャンマー事業からの撤退を表明。21年12月期決算の最終利益は前年同期比16・9%減の598億円となった。ミャンマーでのビール事業の減損が主な要因。
磯崎氏は「十分なデューデリジェンス(投資先の調査)をして、平和な国になるだろうと期待して参入した。自分に瑕疵があるかとか、問題があるとは感じていない」と強調するが、「カントリーリスクは指摘されていた」と業界関係者は語る。
事業利益の約1割を占める稼ぎ頭のミャンマーが躓いたキリンHD。「(約3000億円を投じたが撤退した)ブラジルの教訓を生かせなかったか」(同)といった声も上がっている。
キリンHDのミャンマー事業は国軍系企業との合弁だ。キリンは保有する株式を国軍と関係がない第三者に売却する案を軸に6月末までに決着させたい意向を示すが、その国軍系企業が2度目の合弁会社の清算を裁判所に申し立てるなど波乱含みだ。
一方で海外事業が業績を引っ張ったのがサントリーHD。国内事業の売上収益が前年比1%増に留まる中、米欧が好調だった海外事業は18%増で増収増益を果たした。社長の新浪剛史氏は「国内ビール市場は大変厳しい環境にある。結果的に海外の回復がけん引した」と総括。
大手4社の21年12月期の連結決算では景気回復が先行する海外がけん引した3社が増収増益。キリンHDは苦しい状況に直面しているが、独自の機能素材「プラズマ乳酸菌」や傘下の協和発酵バイオの食品素材など健康関連事業で国内外の需要掘り起こしを進めていく考えだ。
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