1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 日本エネルギー経済研究所理事長・寺澤達也

財界オンライン / 2022年4月7日 7時0分

当面は不確実要素が多い

 ―― 今回のウクライナ危機による問題がエネルギーに及ぼす影響も計り知れないと思うのですが、まずは現状をどのように認識していますか。

 寺澤 短期的にはっきりしているのは、特に天然ガス、LNG(液化天然ガス)は、もともと供給余力がないところにこの問題が発生しているので、非常に脆弱な状況ですよね。

 だから、ヨーロッパもガスについてはなかなか制裁などできないわけですよ。ある意味で、プーチン大統領はその足下を見てやってきているという面もあります。ガスの供給は一応続いてはいるんですが、すでにみんな在庫も少ないものですから、LNGはスポット(随時契約)マーケットでも取り合いになっている。そういうことで、LNGのスポット価格は相場が特に上がっていますよね。

 ―― すでに天然ガスのスポット価格は、1年前に比べて3~4倍くらいですか。

 寺澤 3倍以上は跳ね上がっていると思います。日本の場合は長期契約が多いですから、それが全てLNG価格に反映するわけではありません。しかし、当然、長期とスポットを混ぜて調達しているわけですから、その分は電力料金やガス料金という形で、エネルギーを使っている産業界や消費者に対する負担増になるのは間違いないです。

 一方で、原油の方は、LNGに比べて、理論的な余力はあります。ヨーロッパの国々にとってロシア依存もガスほど高くはありません。しかしながら、原油の供給力が高いのはサウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)ですが、この2国は昔ならアメリカが協力してくれと言えばすぐに協力して動いたんですが、今はそんなに協力してくれない状況です。

【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 元防衛大臣・森本敏



 ―― それはなぜですか。

 寺澤 これは近年、アメリカが中東を軽視した結果です。その間、ロシアはシリアなどに影響力を高めてきているので、中東の産油国も昔のようにアメリカべったりという状況ではない。

【経済産業省】ガソリン補助金引き上げも原油高騰に歯止めかからず

 そうであるが故に、本来であればサウジやUAEは供給余力があるので増産してくれればいいんですが、なかなかそういう方向には動かない。これは、日本というよりアメリカの外交の問題だということです。

 今回、アメリカとカナダがロシア産原油の輸入禁止に踏み切ったわけですが、彼らはもともと大してロシア産原油を輸入していないので、インパクトが少ない。ただ、ロシア産原油を引き取るのを嫌がるユーザーが多くなってきているのは事実でして、その分、供給が減って、原油価格の値段が上がっていますよね。これも、日本の産業界やユーザーに対して、大きな負担になります。

 すでに昨年末の、このウクライナ危機が起きる前の段階の予測では、この4月から始まる来年度の家庭用電気料金が、東日本大震災の前に比べると、4割くらいの水準にまで上がるだろうという見通しだったんですが、足下がこういう状況ですから、もっと上がっていく可能性はありますね。

続きは本誌で

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください