【経済産業省】英国のTPP加入交渉は関税分野の協議へ移行
財界オンライン / 2022年4月11日 11時30分
英国の環太平洋経済連携協定(TPP)の加入に向けた交渉は、関税分野の協議に移行することが決まった。TPP参加国の首席交渉官らが2月に開いた会合で、英国の国内制度が知的財産権の保護や電子商取引(EC)など、TPPのルールをおおむね満たすと判断したため。英国は既に工業品や農産品の関税撤廃率などをTPP参加国に提示しており、市場アクセスに関する交渉が4月以降本格的に始まる見通しだ。
TPP参加国は昨年9月、あらゆる経済連携協定(EPA)の中で最もレベルが高いとされるルールを英国が守れるかどうか審査を始めた。書面などでのやり取りも含めて約5カ月かけて調べた結果、既存の国内制度がTPPルールに適合していると判断した。
一方、英領北アイルランドにTPPを適用するかどうか答えは出ていない。北アの帰属をめぐる紛争の再燃を防ぐため、英国による欧州連合(EU)離脱後、英EU双方の経済制度を適用している。日本の交渉関係者は「数か月で答えが出るような話ではない」と指摘し、関税交渉などと同時並行で協議を進め、北アの取り扱いを決める考えを示している。関税交渉を巡っては、日英は既にEPAを締結しているため、「物品に関する交渉の余地はない」(与党幹部)との見方が支配的だ。
英国は、日英間の懸案事項である食品の輸入規制問題にも終止符を打つ方針だ。2011年3月の東京電力福島第1原発事故後、福島県産などの食品の輸入制限を続けてきたが、近く撤廃する見通しだ。TPPのルールは、食品の輸入制限は科学的根拠に基づいて行い、定期的に見直すことなどを求めている。英国はこうした点を考慮した。
今後、関税交渉などが順調に進めば、23年にも発効することが見込まれている。TPPには中国や台湾、エクアドルが加入申請済みだが、外務省幹部は「まず英国との交渉を優先するのが参加国全体の雰囲気だ」と話している。
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