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丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第10回)

財界オンライン / 2022年4月8日 15時0分

グループ会社の丸和通運が保有するクールコンテナ

生鮮(青果)の産直方式がなぜ、構築できたのか?

 生鮮(青果)を産地で直接仕入れ、それらを温度管理技術で鮮度の高いままに保つ。この技術は簡単ではない。

丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第9回)

「クールコンテナで温度管理した鉄道輸送による産地直送の提案をすると、商談相手のスーパーマーケットのバイヤーさんからは、『丸和運輸機関さんは何屋さんなのですか』と聞かれますよ(笑)」

 ベンダー(卸商、問屋)との取引が長い間続いているスーパー側にすれば、青果が従来のルートより安く購入できることになり、そういう質問をぶつけたくなる。「そうか、産地まで紹介できるの、とか。これは今まで聞いたことのない話なんですよ。小売りサイドからすると、市場を通して買っていましたからね。それを産地から買い付けできるとなると、消費者に有益なサービスができるということですからね。今、市場でもなかなか品物が揃わないのです」。

 消費者と直接接する立場にあるスーパーなど〝売る側〟としては、何とかして新しいサービスを消費者に提供したいと考えている。「お客様に旬のもの、季節を感じさせる品を届けるということ。例えば、新ジャガイモは九州が一番早いのですが、他にも新タマネギ、新キャベツ、筍といったものは〝新〟と付く。そういうものを産直で届けることができるのです。それが丸和運輸機関グループの強みです」。

 一般的な産直は卸売市場を通さないで生産者から直接、消費者の下に農産物や魚介類が届けられる方式である。東京なら豊洲市場や大田市場を通さないということだから、市場の口銭(こうせん)(約7%)、仲買いや問屋のマージン(約15%)の計約
22%は〝中抜き〟できる勘定。つまり、消費者にそれだけ安く商品を提供できるわけである。和佐見はこの産直方式を相当な準備と時間をかけて実現し、スーパー側に提案したのである。


和佐見勝・丸和運輸機関社長

 その産直方式の一端を紹介すると─。

 夏場の北海道・十勝。朝4時からトウモロコシの収穫を始め、集荷し、新千歳空港まで運ぶ。正午(午後12時)に新千歳空港を出発、午後2時位に東京・羽田空港に到着。羽田空港から丸和運輸機関の車で首都圏のスーパーの各店舗に納品するというコールド・チェーン網。各店舗では午後4時頃には店頭にトウモロコシを並べるという算段である。

 お客は朝採りのものに驚き、新鮮なトウモロコシを味わいたいと30分で売り切れるほどだという。

 3PL事業者で低温食品を扱うケースは多々あるが、産地直送の品、特に青果を扱う産直となると、丸和運輸機関の〝専売特許〟。スーパーのバイヤーが産地で特産品を買い付ける仕事が要求されるので、物流・配送の仕事だけならともかく、商品の仕入れとなると、これはそう簡単なことではない。「こういった提案ができるのは、わたしがもともと八百屋だったからです」と和佐見は語る。

以下、本誌にて

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