小麦粉価格の高騰続く、食品値上げや米粉代用の動きも
財界オンライン / 2022年4月25日 18時0分
夏場にはさらに上昇する懸念も
「コロナ禍に加えて、ロシアのウクライナ侵攻で今後向かうべき海図(方向性)さえも描けない。そこに小麦などの原材料価格の上昇も加わってコストは数百億円レベルの上昇。店頭価格に反映するしかないのが現状だ」─。大手ビールメーカー首脳はこのように呟く。
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あらゆるものの材料の価格が高騰する中でも、特に食品業界がその行方に注目するのが小麦粉の価格だ。世界首位の小麦産地であるロシアと同6位のウクライナが戦火に見舞われたことで供給不安が広がり、小麦の価格が上昇中。米シカゴ商品取引所の小麦先物の代表的な価格は、年明け以降に1ブッシェル=7~8ドル台で推移していたが、3月には一時、13ドルを突破。現在も10ドル台で推移している。
日本は9割を外国産小麦の輸入に頼っており、政府が買い上げて、4月と10月の年に2回、小麦の市況を勘案して製粉会社に売り渡す価格を決めて売り出している。それを踏まえると、足元の価格上昇分が反映されるのは今年10月と見られる。
揚げ物やお好み焼きなどを扱う外食企業の関係者は「コロナで客足が減っていることもあり、最終的にどれくらいの影響が出るのか見当もつかない」と話した上で、「価格は据え置いて容量を減らすステルス値上げといった小手先の戦略は通用しない。値上げをどれだけ許容してもらえるかだ」と値上げを示唆する。
小麦粉の代わりに米粉に注目する企業もある。うどんチェーン「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングスは中国産米を使った麺のレストランを東京・新宿に出店。米菓大手の亀田製菓も100%国産の米粉を使ったパンの商品ラインアップを刷新する。ただ米粉が、これだけ普及している小麦粉の代替としての役割を担えるかと言うと「価格や品質の面も含めて難しい」(同)のが実態のようだ。
ロシアのウクライナ侵攻前から天候不順で米国やカナダ産の小麦粉の品質は低下。戦禍に見舞われるウクライナでの作付けが減ればさらに価格上昇につながる懸念も。食品業界を中心に各企業は小麦粉に頭を悩ませる日々を送ることになりそうだ。
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