【危機がささやかれる地銀業界】統合破談のフィデアHD・東北銀行の今後
財界オンライン / 2022年4月18日 18時0分
荘内銀行(山形県鶴岡市)と北都銀行(秋田市)を傘下に持つフィデアホールディングスと、東北銀行(岩手県盛岡市)の経営統合計画が破談し、金融界に波紋を広げている。
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関係筋によると、歴史的に関係が深い旧富士銀行(現みずほ銀行)OBが経営するフィデアがメガバンク流の構造改革を推進していることも「地元志向」が強い東北銀の警戒感を高めさせたという。
元みずほ銀頭取の西堀利氏(75年旧富士銀)が取締役会議長兼指名委員会委員長を務め、社長の田尾祐一氏以下執行役の半数以上を旧富士銀と系列の旧安田信託銀行OBが占めるフィデア。持ち株会社主導でメガバンク流の経営術を傘下2行に移植し成功させた自負がある。
経営危機に陥り、米リーマン・ショック直後に公的資金を注入された北都銀行を不良債権処理などで黒字体質に転換させたほか、荘内銀についても儲からない地元企業向け融資を選別し、余資を市場運用に回す有価証券投資で収益を向上させた。
対照的に「岩手県の中小商工業者のための銀行」をモットーに掲げる東北銀は「地元密着」が最大の売り。公的資金の返済原資確保の必要性から、06年から業務提携する荘内銀を傘下に持つフィデアとの統合を模索。だが、基本合意発表後の協議で、フィデアの”中央集権型”経営を目の当たりにし、経営の自主性が失われることを危惧、”婚約解消”に踏み切ったようだ。
ただし、フィデアも東北銀も公的資金が残るほか、地元の融資先企業はコロナ禍に資源高・原材料高が追い打ちし、業績が悪化している。フィデアの有価証券運用も米国の金融政策変更によるカネ余り相場の終焉でこれまでのような高収益を上げるのは困難となりそうだ。両行とも単独での生き残りは難しいとの見方が広がっている。
山陰合同銀行や大分銀行が野村証券、四国銀行が大和証券、そして8行の第2地銀がSBIと「銀証連携」が進む中、将来像が定まらないまま再編に走って「空中分解」したフィデアと東北銀の破談劇は、他の地銀の生き残り戦略にも重い教訓となりそうだ。
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