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【株価はどう動く?】ウクライナ紛争で日米に戦時特需?一方、インフレで一般国民の生活は困窮

財界オンライン / 2022年4月14日 11時30分

投資家の「リスクオフ」で米国債が買われる  前回予測した通り、日米の株式市場は当面のリスク要因である「ウクライナ紛争」とFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ、金融引き締めを織り込みつつあります。FRBは金利を0.25%上げましたが、これは予想通りだということで市場は安心しました。

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 次回は0.5%上げるかもしれないという見通しですが、もしそうなっても、すでにサプライズではありません。逆に、仮に次回の金利引き上げが0.25%だったら、株価は上昇すると思います。

 日経平均株価、ニューヨークダウ、ナスダックいずれも株価は戻り歩調です。ただ、今の世界の株式市場には引き続き3つのリスクがあります。

 第1に米国の金融政策の転換、引き締め、利上げです。第2にウクライナ紛争の拡大、第3にインフレの加速です。

 金融政策とウクライナに関しては、株価は当面の悪材料をかなり織り込んだと思いますが、第3の先進国でのインフレ加速が株価の大きなリスクとなってきます。

 その象徴が原油価格です。例えば3月23日にニューヨークダウが400ドル以上下落しましたが、これは原油価格が急上昇したことが大きな要因です。インフレが予想以上に早いテンポで加速する可能性が出てきているのです。

 ただ、FRBは急激な金利引き上げはできません。なぜなら景気を悪化させるからです。一方、原油価格はそうした状況に関係なく、マーケットで上がってしまいます。一部には原油価格が1バーレル200ドルを超えるという超強気の見方も出てきているほどです。

 インフレが加速すると、本来米国の金利も上昇しておかしくないわけですが、実際にはそれほど長期金利は上がっていません。なぜか。

 それはウクライナ紛争で世界のマネーは「フライ・トゥ・クオリティ」(質への逃避)が顕著になっているからです。投資家は「リスクオン」から「リスクオフ」となっており、今最も買っているのは米国債です。国債が買われれば価格が上がり、利回りは下がります。

 マネーは米国債以外に原油や金といった商品、さらには暗号資産(仮想通貨)に向かおうとしています。ですからこの後、投資家のインフレヘッジで、主要な暗号資産であるビットコインやイーサリアムは上昇してくる可能性があります。不動産にも資金が流入する可能性がありますが、前述の商品に比べると流動性に欠けます。

 こうした状況下でなぜ暗号資産の価格が上がるかというと、今後インフレが加速すると、ドル以外のどの国の法定通貨も減少します。

 世界の投資家は現金を保有すると目減りするために、商品にシフトするわけですが、巨額のマネーを補うほどのマーケットではありません。

 ところが、21年5月に米電気自動車大手のテスラが1600億円分のビットコインを買ったことからもわかるように、暗号資産はどの投資対象よりも流動性が高いのです。この流動性の高さを求めて、世界のマネーが向かうものと予想します。

 もう一つ、発展途上国はもちろんのこと、多くの国が自国通貨を信用できなくなってきており、多くの人々が自らの資産で暗号資産を買う動きになっています。エルサルバドルがビットコインを法定通貨にしましたし、今後ジャマイカやメキシコも続くと報道されています。

一般国民はインフレで生活困窮の恐れも…
 一方、今回のウクライナ紛争によって、今後経済が潤う国が出てきます。それは日本、米国です。欧州全体は生産活動が停滞して物資不足になります。その物資不足を誰が供給するかというと日本と米国です。中国も一部を担いますが、ロシアに肩入れしていることで、それを嫌う国も出てくるでしょう。

 紛争から1年後くらいに、日本は「特需」の恩恵を受けている可能性がありますが、実は同じことが第一次世界大戦にも起きています。この時、欧州で戦争が起き、域内の多くの国が巻き込まれ、あらゆる物資が不足したのに対し、日本と米国が供給をしたのです。

 この時に世界の覇権は英国から米国に移りました。そして、赤字国だった日本は輸出が伸び、第一次世界大戦が開戦した翌年には大黒字国に転換しました。

 しかも、当時大きな利益を上げた業種が海運業です。当時、ドイツの「Uボート」に1200万トンの商船が撃沈されました。さらに1500万トンの商船が軍備のために徴用され、世界の商船の船腹量4500万トンの大半が失われたのです。

 この中で日本の船は残っており、当時日本郵船の株価は急速に上昇しました。この時に出てきたのが「船成金」です。この時の状況のミニ版が今、始まっているのではないか? というのが私の相場観です。

 物資不足でモノの価格が上がるわけですが、第一次大戦時の1917年末には不定期船の運賃が戦前の28倍にまで上がりました。このことを考えても、日米にミニ版の特需景気が起きる可能性があります。

 足元で、それまで金利上昇や各種規制などを嫌気して下落していた米国の巨大IT「GAFAM」の株価も上昇を始めています。金利が上がっても株価が上がるというような展開が訪れようとしています。

 しかし、日本の為替の円安によって、一般国民の生活は輸入インフレによって物価が上がる一方、デフレが終わらず賃金が上がっていませんから、困窮するでしょう。その中で求められるのは「生活防衛」です。一番の防衛は資産形成、金融商品を保有することです。

 今後、原材料価格高騰で商品価格を上げている食品株や素材関連、金利上昇で利ザヤが取れる金融株などが上昇する可能性があり、このようにインフレによって恩恵のある企業の株価が上昇します。つまり、資産インフレ、特需銘柄が出てくることが予想されます。

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