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『ドン・キホーテ創業者』安田隆夫の「現場主義と顧客最優先主義に徹して」

財界オンライン / 2022年4月20日 7時0分

シンガポールで日本の現状を憂う

 

「小売業とは変化に対応する仕事。こういう大きな変化があった時は、やり甲斐がある局面だとも言える。そうした危機を乗り越えないと、本当にいつ駄目になるか分からない状況の中で今までやってきましたから、そういう意味では、一つ一つの危機がかえって、わたしたちを強くしてくれたと思う」

 こう語るのは、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)創業会長兼最高顧問の安田隆夫氏。

 ディスカウントストア『ドン・キホーテ』や総合スーパー(GMS)の『ユニー』など、国内外合わせて682店舗(2021年12月末時点)を運営するPPIH。

 創業者の安田氏は1978年、東京・杉並区に個人営業で18坪のディスカウントストア『泥棒市場』を開業。ここから小売業に本格参入し、1989年に東京・府中で『ドン・キホーテ』1号店をオープン。一代で売上高1兆8700億円(22年6月期見通し)の巨大流通グループに育て上げた。

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 現在は国内事業を社長CEO(最高経営責任者)の吉田直樹氏に任せ、自らはシンガポールに居を構えて、アジアをはじめとする海外事業に専念。シンガポール、香港、タイなど、アジア6カ国・地域30店舗(2022年2月末時点)で、日本産品専門のコンセプトショップ『DON DON DONKI』運営に全力投球している。

 その安田氏が最近感じることは「円安もそうだし、賃金も上がらず、物価も上がらない。日本のモノがどんどん安くなっているから、海外でメイド・イン・ジャパンの専門店をつくっても海外のお客様からは、何だこんなに安いのかと思われている。お客様が喜んで買っていただけるのは嬉しいが、日本人としてこれを喜んでいいのかどうかは疑問」ということ。海外に住みながら、日本という国を憂う気持ちを隠そうとしない。

「社員の頑張りがあって、ここまで来ることができた。現場の社員に権限を委譲する現場主義と、顧客最優先主義を実践してきたことが大きい。こうした原点は今後も変わらない」(安田氏)

 足元では長期化するコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻などあり、世界経済の先行きに不透明感が漂っている。また原油価格を始め、あらゆる原材料価格が高騰しており、今後は消費者の節約志向が今まで以上に高まることも予想される。

 同社の真価が問われるのはここからだ。

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