千葉県旭市に新たな街が出現! イオンが手掛ける「新・流通戦略」
財界オンライン / 2022年4月22日 7時0分
全国の地域や行政が抱える課題解決を
千葉県北東部に位置する千葉県旭市。銚子市の西側に隣接し、九十九里浜に面した人口約6万4千人の地方都市である。
4月23日、ここに一つの街がお目見えする。それが官民連携で推進する新しい街『生涯活躍のまち・みらいあさひ』。その中核となるのが、イオンタウンが開発するショッピングセンター(SC)『イオンタウン旭』。
みらいあさひは、このSCを中心に、左右に隣接する旭中央病院と道の駅『季楽里(きらり)あさひ』をつないで一つの街と想定。イオンが商業機能、地域医療の中核を担う旭中央病院を医療連携拠点、道の駅を農業・交流連携拠点とし、地域の住民が世代を越えて交流できる新たな拠点にしようという試みだ。
「官民連携で旭市の見どころを発信し、多世代が交流することで心も体も楽しく健康になるようなコミュニティ拠点を創出する。当SCをモデルケースとして、これからも地域のお客様のニーズに合わせて、地域の課題を解決する地方創生事業を推進していく」
イオンタウン社長の加藤久誠氏はこう語る。
みらいあさひの街びらきは、2018年に市が事業主体となる民間事業者の公募を実施し、イオンタウンが選定。旭市は農業従事者が多く、高齢化や人口減少が続き、持続可能な街づくりは行政だけでは難しい。そこにイオンが加わることで、若者の流出抑制や流入促進を促し、増加する高齢者と若者が共存することで市全体の活性化に結び付ける――というのが目的。
かつて郊外に巨大なSCを出店することで、駅前の商店街の来店客が減少したとして、目の敵にされることもあったイオン。しかし、現在は少子高齢化や人口減少の流れが加速し、「イオンなどの巨大資本を悪者にして追い出したら、街全体が廃れたなんて地域が全国には結構ある」(流通関係者)。そう考えれば、時代は変わったといえよう。
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「市や行政は日本全国至る所で同じような課題を抱えている。地域連携というのは当社のSCとしても最大のポイントであり、絶対に実現していかなければならない。今回は旭市さんとも課題を共有できたということで、なんとしても成功させ、全国の地域や行政が抱える課題解決を当社がやっていけるような組織や運営ノウハウができればいいと考えている」(加藤氏)
イオンタウン旭の敷地面積は約2万4897平方㍍。平日で5千人、休日で6千人、年間200万人の来店客を見込む。
商業施設には、核店舗となるスーパー『イオンスタイル旭中央』がオープン。千葉県産のオーガニック野菜や地場野菜の販売を拡充し、イオングループ最大級の調剤薬局も併設する。
歯科医院や整骨院・はりきゅう院も出店する他、今後はSC内で健康相談会などのイベントを定期的に開催したり、2023年にはSCの隣接地に特別養護老人ホームを開設。以降も高齢者住宅や移住者住宅などの開発も計画しているそうだ。
「エリアニーズにマッチしたクリニックや品揃えをし、健康志向に対応した食を始め、医薬品においても当社最大級の調剤薬局など、”ヘルス&ウエルネス”に特化した商品やサービスを拡充していく。薬の出来上がりを待つ間にお買い物ができるなど、ワンストップショッピングの利便性を追求し、地域のかかりつけ薬局を目指す」(イオンスタイルの運営会社・イオンリテール常務で南関東カンパニー支社長の浜口好博氏)
地域の特性にあった店づくりへ。官民連携での新たな取り組みが始まっている。
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