日本生命が年金の予定利率引き下げ、今後の金利環境はどうなる?
財界オンライン / 2022年4月26日 7時0分
日本生命保険が企業から預かる年金保険の予定利率を2023年4月に年1.25%から0.50%に引き下げると発表した。引き下げは21年ぶりで、背景には日銀の異次元緩和策の長期化による運用難や、25年から適用される生保の新資本規制への対応がある。影響は5000社以上に及ぶと見られ、企業の年金担当者らの間に波紋も広がる。
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業界では、すでに第一生命保険が21年10月に予定利率を0.25%(従来は1.25%)に引き下げたが、最大手の日生が動いたことで、現在1.25%の利率を維持している明治安田生命保険や住友生命保険なども「追随せざるを得なくなる」(アナリスト)との見方が多い。
異次元緩和の副作用が年金分野に本格的に波及した形で、日銀の金融政策運営に影響を与える可能性も指摘される。コロナ禍からの経済活動の本格的な再開や、資源高などでインフレ圧力が高まったことから欧米の中央銀行は金融引き締めに転じているが、日銀は物価上昇率目標の2%が達成されていないことを理由に「緩和を見直す状況にはない」(総裁の黒田東彦氏)とする。
ただ、欧米などとの金融政策の方向性の違いを際立せる形となり、円が売られている。円安進行は資源・原材料や食品などの輸入価格の一段の上昇を通じて家計や中小企業を圧迫する。輸出入の採算性を示す交易条件の悪化による経常赤字の膨張が更なる円売りを招く「円安スパイラル」の懸念も出ている。
携帯料金値下げの影響が剥落する4月以降、消費者物価指数は日銀の目標である2%に達する可能性があり、金融政策の修正観測が高まりそうだが、名目上2%に達しても日銀が目指す賃上げを伴う「良い物価上昇」とは言えないジレンマがある。
永田町などでは緩和策の効果が薄れる一方、弊害が目立つとして、見直しを求める声も出るが、機械的に緩和縮小に動いて金利が上昇すれば、景気に悪影響を及ぼしたり、国内総生産(GDP)の2倍以上の借金を抱える国の財政を悪化させるリスクもある。日銀の金融政策運営は一層厳しさを増しそうだ。
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