【政界】支持率が尻上がりの岸田政権 自・公間内の不協和音をどう吸収するか?
財界オンライン / 2022年4月25日 15時0分
※2022年4月20日時点
岸田文雄政権が誕生して半年が経過した。新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が全面解除されたものの、ロシアのウクライナへの軍事侵攻は民間人の殺戮も明らかになり、国際情勢は予断を許さない。ウクライナ情勢に伴う原油高、物価高などを受けた総合緊急経済対策の策定を指示した岸田は、夏の参院選をめぐり決裂しかけた公明党と選挙区の相互推薦も決めた。ただ、早期の2022年度補正予算の編成を求める公明党と政府・自民党の間には依然溝が残る。
【政界】ウクライナ問題が内政・外交を直撃 追加経済対策で打開図る岸田政権
動き出した岸田
まん延防止等重点措置が明けた翌日の3月22日、岸田は早速「夜の会合」へと繰り出した。東京・雷門の鳥料理店で自民党幹事長の茂木敏充らとの会食を皮切りに、経団連会長の十倉雅和、日本商工会議所会頭の三村明夫ら財界、二階俊博、甘利明ら自民党重鎮、マスコミ幹部などとの会食をほぼ連日こなす。
コロナ禍で会合を自粛していた岸田は周囲に「いろんな人の話を早くたくさん聞きたい」と漏らしていた。昨年10月の就任直後に衆院選があり、コロナの「第6波」の影響もあって、会合を開けず、岸田には外部の声、特に政権や自身に都合の悪い声が届きにくくなる「官邸病」に陥りつつあったようだ。
合間を縫って岸田は対面外交も本格化させた。その日程は殺人的でさえある。
3月19~21日にインドとカンボジアを訪れ、22日に22年度予算が成立すると、23日夕にはウクライナ大統領のゼレンスキーによる憲政史上初の外国首脳による「オンライン国会演説」に参加。同日夜から「0泊3日」でウクライナ情勢を協議する先進7カ国の緊急首脳会合(G7サミット)出席のため、ベルギー・ブリュッセルを訪れた。
安倍晋三政権下で戦後連続最長の4年8カ月にわたり外相を務めた岸田は在任中に外遊59回、延べ93カ国・地域を訪れ、日数は計268日、総飛行距離は地球28周分超の114万キロに及んだ。体力に自信があるとはいえ、岸田の健康を考慮した政府関係者はG7サミットへのオンライン参加も検討したが、岸田は「出席しない選択肢はない」と拒否した。
周知の通り、G7のメンバーは、日本以外は全て欧米各国で、ロシアとの関係は日本よりも深い。今回のG7サミットは日本以外のメンバーが参加する北大西洋条約機構(NATO)が本部のあるブリュッセルで開催した緊急会合の「ついで」に行われたように、欧米の都合で日程が決まった。
そこに日本のトップだけが不参加、あるいはオンライン参加だった場合、日本の印象は「対露で後ろ向き」と捉えられかねなかった。
アジアの代表として
岸田はインドとカンボジアの訪問を終えた際、G7サミットに向けて、記者団に「アジアの代表として状況をしっかり報告していく」と抱負を語った。インドはロシアと軍事面も含め関係が深い。それでも共同声明ではロシアの名指しを避けつつ、「深刻な懸念」を明記することに成功した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務めるカンボジアとの共同声明では、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反との認識を共有し、武力行使の即時停止とウクライナ領土からのロシア軍撤退を求めるなど、さらに踏み込んだ。ASEANは歴史的な経緯からロシアとの関係が加盟国によってバラバラなだけに、「厳しい非難をともに表明できたのは大きな成果だった」(外務省幹部)という。
日本の隣国であるロシアの行為は「対岸の火事」ではない。沖縄・尖閣諸島や台湾への挑発、南シナ海で国際法を無視した一方的な軍事拡張を進める中国はロシアのウクライナ侵攻と極めて似た行動となっている。「アジアの代表」との岸田の言葉からは、その責任感がにじみ出ていた。
ウクライナ情勢は厳しい状況が続くとはいえ、対露制裁で欧米と足並みを揃える岸田にとって、不安はむしろ国内情勢にあるかもしれない。
以下、本誌にて
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