〈10年間で総額8兆円〉 EV戦略で巻き返しを図る【ホンダ】
財界オンライン / 2022年4月26日 18時0分
「今は電気自動車(EV)の黎明期。しかし、2030年以降には普及機に入る」――。ホンダ社長の三部敏宏氏は語る。
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1年前、社長に就任した三部氏は40年に新車販売を全てEVか燃料電池車(FCV)にし、ガソリン車から撤退する方針を掲げた。しかし、その後、具体策が公表されないまま、他の自動車メーカーが先んじて数値目標などを発表してきた。
遅ればせながらのホンダの電動化戦略。それは30年までに世界で30車種のEVを投入し、年間200万台以上を生産する。年間生産台数(昨年は413万台)の半分をEVにする規模だ。
具体的には、北米では24年にも米ゼネラル・モーターズ(GM)の電池「アルティウム」を搭載した共同開発のEVを2車種投入し、27年以降にはGMと共同開発した量販EVを複数車種展開していく。中国では27年までに10車種を投入。また、日本では24年前半に軽自動車サイズの商用のEVを100万円台で投入し、その後に一般向けの車も販売する。
EVの心臓部でもある電池については、北米ではGMから調達するほか、「別のメーカーとの合弁会社の設立も検討している」(執行役員専務の青山真二氏)。中国ではCATL、日本ではエンビジョンAESCから調達。黎明期から普及期に関しては「地産地消」(同)というスタンスで電池調達を進める構えだ。
一方、現在主流のリチウムイオン電池より航続距離が大きく伸びると期待されている次世代電池「全固体電池」にも430億円を投資し、実証ラインを24年春に立ち上げる。「手の内化」(三部氏)も視野に入れている。ホンダは30年度までの10年間でEV以外も含めた研究開発費全体で約8兆円を投じる予定だ。
ただ、トヨタ自動車は同じ30年にはEVを350万台にし、日産自動車も3社連合で同年までに35車種のEVを投入する。台数や車種数でホンダは見劣りする。また、投資の原資を生む四輪車事業の営業利益率も7%の目標までほど遠い(約1%)。
ホンダは「年間に3000万基のエンジンがついた商品を展開してきた会社」(三部氏)。他社にはない量販効果を生み出し、EVで反転攻勢をうかがう。
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