【ソニー】初の営業利益1兆円 メタバース、モビリティに注力
財界オンライン / 2022年5月25日 18時0分
リカーリングビジネスの強化で消費者とのつながりを追求
「経営のキーワードは”感動”。今後の成長領域となり得る2つの感動空間、即ち、メタバース(仮想空間)とモビリティ(移動)で、新たなエンタテインメント体験の創出を目指す」
こう語るのは、ソニーグループ会長兼社長の吉田憲一郎氏。
ソニーグループが2022年度の経営方針説明会を開催した。メタバースとモビリティを注力分野とし、脱炭素戦略を従来計画より10年前倒しで達成する計画だ。
すでに同社は米ゲーム会社のバンジーを36億ドル(約4100億円)で買収した他、米エピックゲームズに約10億ドル(約1250億円)を追加出資することも決めた。メタバースで多くの消費者とのつながりを追求する狙いは、ハードの売り切りではなく、ソフトなどで継続的に稼ぐ「リカーリングビジネス」の強化にある。
一方のモビリティ分野では、ホンダと戦略的提携についての協議を進行中。2025年のEV(電気自動車)の販売開始を目指しており、「知見がないところはパートナーと組み、モビリティの進化に貢献できるところへ貢献していく」(吉田氏)。
吉田氏は2018年の社長就任から4年間で、ゲーム、音楽、映画の3事業に1兆円を超える戦略投資を実施。2021年度の3事業の売上高を合計すると、グループ全体の連結売上高の約半分、営業利益でも約3分の2を占めるまでになった。ソニーはもはや、テレビなどのエレクトロニクスが中心の企業ではなくなったということである。
同社は2022年3月期の連結決算で売上高9兆9215億円(前年同期比10・3%増)、営業利益1兆2023億円(同25・9%増)と、いずれも過去最高を更新した。本業の儲けを示す営業利益で1兆円を超えたのは、日本の製造業でトヨタ自動車に次ぐ2社目となる。
もっとも、メタバースにおけるゲーム市場では、米動画配信大手・ネットフリックスなどとの競争は必至。EV市場でも米テスラなどとの戦いは激しく、ITの巨人たちとの消耗戦に陥る懸念も出ている。
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