【国土交通省】バリアフリー化の新制度創設で、相次ぐ鉄道会社の運賃値上げ
財界オンライン / 2022年6月2日 11時30分
国土交通省が昨年末、鉄道駅のバリアフリー化を進めるための費用を運賃に上乗せできる新制度を創設したことを受け、鉄道各社による値上げの届け出が相次いでいる。
JR東日本が4月、23年3月頃に東京圏の特定区間で10円の上乗せを発表したのを皮切りに、各社が同様の値上げの意向を表明。消費税増税を除く運賃の引き上げは、これまで多くは行われてこなかったが、ここにきて「値上げラッシュ」の様相を呈している。
増収分は設置費用がかさむホームドアの導入などに充てられるため、国交省はバリアフリー環境整備の促進に期待する。新制度は、東京・大阪・名古屋の3大都市圏の鉄道事業者を対象に、ホームドアやエレベーターの整備に必要な費用を賄うため、運賃を上乗せできるというもの。
昨年5月に閣議決定された第2次交通政策基本計画に、「都市部において利用者の薄く広い負担も得てバリアフリー化を進める枠組みを構築する」と盛り込まれたことを受け、昨年12月に創設された。
これまでに東京メトロなどが23年3月頃からの10円の値上げを国に届け出ており、JR東海やJR西日本なども制度の利用を検討している。JR東日本は今回の値上げにより、今後13年間で2990億円の増収を見込み、総整備費の半分を賄う計算だ。社長の深澤祐二氏は「整備の前倒しを進めていきたい」と意気込む。
新型コロナウイルス流行の長期化は鉄道各社の経営に大きな爪痕を残し、移動の制約やテレワークの浸透などで利用者は低迷。こうした中、今回の制度とは別に東急電鉄やJR西日本、近畿日本鉄道などが収支改善に向けた運賃引き上げを表明。国交省も運賃改定手続きの簡素化など新たな運賃制度の検討を進めており、今後もこうした動きが広がりそうだ。
進む「JR東」の高輪再開発、鉄道による移動から街づくりへ
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