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【農林水産省】韓国の新大統領誕生がTPPに悪影響及ぼす?

財界オンライン / 2022年6月7日 15時0分

韓国の大統領に尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏が就任した。農林水産分野では、韓国が実施している福島など8県産水産物の輸入禁止が懸案事項として挙げられる。尹氏は「戦後最悪」とされる日韓関係の改善に意欲を示している。

 ただ、新政権も世界貿易機関(WTO)での勝訴を「錦の御旗」として、禁輸を続ける意向とみられ、韓国が参加を希望する環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐる議論に悪影響を与えることは必至だ。

 韓国は、11年3月に発生した東京電力福島第1原発事故を受け、青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の水産物の輸入を禁じている。日本は韓国による禁輸措置は科学的根拠に欠けると判断し、WTOに提訴。一審に相当する紛争処理小委員会(パネル)は、禁輸が「不当な差別」として、韓国側に是正を求めた。

 ところが、最終審に当たる上級委員会は19年にパネルの結論を覆し、日本の逆転敗訴が決まった。上級委は、韓国の措置がWTO協定違反かどうかを問う上でパネルの考察が不足していると指摘した一方、日本産水産物の安全性は認めている。

 日本は敗訴後もあらゆる機会を捉えて韓国に規制撤廃を求めているが、徴用工問題などで関係が冷え込んだことなども影響し、一切取り合わないようだ。

 日本にとって厳しい状況が続く中、「TPPを活用して韓国に規制解除」(経済官庁幹部)を迫る戦略を取る選択肢もある。尹氏はTPPを推進する立場のため、いずれ加入申請をする見通し。TPPのルールでは、食品の輸入制限は最小限に抑え、定期的に見直すことを求めている。韓国の禁輸はこのルールに抵触しているとの指摘もある。

 韓国が措置の是正に向けた行動を起こさない限り、日韓でTPPに関する前向きな話し合いはできない。ただ、韓国は世論などに配慮し、TPPと禁輸解除は別の問題と主張することが想定されるため、局面の打開は難しいかもしれない。

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