【財務省】消費者物価指数が2%超え 消費マインドの悪化に懸念
財界オンライン / 2022年6月17日 7時0分
5月20日に総務省が発表した4月の消費者物価指数は前年同月比2・1%の上昇となり、消費税増税の影響を除けば、2008年9月以来、13年半ぶりに2%超えとなった。指標としては日銀の2%物価目標を達成した形だが、実態はロシアのウクライナ侵攻に伴う原油価格高騰で電気代やガス代が跳ね上がった影響が大きい。ウクライナ情勢は長期化の様相を強めており、家計の負担増は当面続きそうだ。
24日の閣議後会見で鈴木俊一財務相は、物価上昇について「食料品や原材料の価格高騰が(消費)マインドの悪化や購買力低下など、消費や企業活動に影響を与える可能性がある」と懸念を示した。今後の対応として、鈴木氏は25日に国会に提出した総額2・7兆円の22年度補正予算案を踏まえ「これまで使用した金額相当の予備費を確保し、今後の予期せぬ財政事情に迅速に対応し、国民の安心を確保したい」と強調。「21年度予算の繰り越しや22年度当初予算の着実な施行も重要だ」とも語り、物価高対策に万全を期す考えを示した。
だが、鈴木氏のいう「国民の安心の確保」に向けた裏付けは乏しい。6月上旬に取りまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」では、岸田文雄首相の掲げる「新しい資本主義」に向けた「改革」を通じ、資本主義をバージョンアップすると強調する方向だ。
だが、分配政策の柱である最低賃金については、第2次安倍晋三政権、菅義偉政権と同様「できる限り早期に全国加重平均千円以上を目指す」と掲げるにとどまるなど、これまでの踏襲の域を出ない政策が多く、具体像は見えにくいままだ。
22年度補正予算案も物価高対策としては「力不足なのは明らか」(財務省幹部)で、コロナ禍からの景気回復は容易ではなさそうだ。
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