【総務省】宇宙天気予報の強化提言 「太陽フレア」被害に備え
財界オンライン / 2022年6月15日 11時30分
総務省の有識者会議は、太陽の表面で起きる大規模な爆発現象「太陽フレア」による通信機器などへの被害を最小限に抑えるため、発生情報を関係機関に知らせる、宇宙天気予報の発信体制を強化するよう求める報告書案をまとめた。宇宙天気予報を詳細に説明できる資格「宇宙天気予報士」の創設や宇宙天気の予測強化に向け、国に「宇宙天気予報オペレーションセンター」を新設することなどが柱。
金子恭之総務相は、太陽フレアについて「通信、放送、人工衛星、航空機など、電波を利用する社会インフラに深刻な影響をもたらす可能性がある」と指摘。報告書をもとに、社会的な影響を考慮した新たな予報の整備など、必要な取り組みを進める考えを示した。
太陽フレアが起きると、強いエックス線や紫外線、粒子線などが発生する。有識者会議「宇宙天気予報の高度化に関する検討会」がまとめた被害想定では、仮に100年に1回レベルの大規模なフレアなどが起きた場合の最悪シナリオとして、昼間に携帯電話システムが断続的に停止する障害が発生すると予想。携帯電話が使える周波数が逼迫することで、110番などの緊急通報がつながりにくくなると見込んだ。
また、テレビでも最大で数時間程度の受信障害が一部で断続的に発生し、航空機、船舶、電力・ガス、自治体の防災活動などが著しく制約を受けるとの見通しを明らかにした。全地球測位システム(GPS)の精度も大幅に劣化し、GPSの位置情報に依存する自動運転車両やドローンの衝突事故が発生する可能性もあるという。
現在、宇宙天気予報の情報発信は、総務省所管の情報通信研究機構(NICT)が担っており、専用サイト上で「静穏」「やや活発」「活発」といった予報を開示している。しかし、報告書は、こうしたリスクが産業界に十分に周知されていないと指摘。専門知識を備えた宇宙天気予報士や、予測の専門組織を設けるよう訴えている。
【総務省】携帯電話用の新たな電波割り当て方式を議論
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