【厚生労働省】全世代型社会保障 財源確保策には踏み込まず
財界オンライン / 2022年6月16日 11時30分
政府の全世代型社会保障構築本部(本部長・岸田文雄首相)が制度改革に関する中間整理をまとめた。政権が掲げる「人への投資」を強化するため、厚生年金などの加入者を拡大する「勤労者皆保険」の実現や、子育て支援策の拡充を盛り込んだのが特徴だ。
岸田首相は「持続可能な社会保障制度を将来世代に伝えていくためには、社会保障の担い手を確保すると共に、男女が希望通りに働ける社会をつくる未来への投資が重要だ」と強調。政府は6月ごろに策定する経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に改革項目を盛り込んだ上で、具体化に向けた議論を本格化させる。
中間整理は子育て・若者世代への支援や多様な働き方に対応した制度設計を柱に掲げ、厚生年金などの適用対象を働く人全てに拡大する「勤労者皆保険」の実現を強調。仕事と子育ての両立を図るため、育児休業制度の拡充や出産育児一時金の増額などによる経済負担の軽減を打ち出している。女性の就労を制約する制度の改善にも言及している。
ただ、中間整理は理念先行な上、目玉の勤労者皆保険に対しては「まずは法律で定められた24年までの被用者保険の拡大を着実に進めることが先決」(年金局幹部)といった慎重意見が多く、今から実現を困難視する見方も。省内では「中間整理はあくまで骨子、理念のような内容。具体的な議論はこれからだ」(官房幹部)として様子見ムードが広がっている。
また、政策実現に不可欠な財源確保策にも触れられなかった。内閣官房幹部は「時間が足りず、財源の話まで中間整理に盛り込むことができなかった」と釈明。ただ、今夏の参院前に国民に負担を求める財源論は難しかったのが現実で、同幹部は「議論が具体化すれば当然、それを実現するための財源をどうするかという話になる」とし、参院選後に給付と負担に関する議論を改めて進める考えを強調した。
【政界】安定政権か、それとも衰退を辿るのか?7月の参院選で分水嶺を迎える岸田首相
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