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活発化する次期日銀総裁選び、中曽宏氏か、それとも雨宮正佳氏か

財界オンライン / 2022年6月16日 18時0分

日本銀行本店

来年4月に任期満了を迎える日本銀行総裁の黒田東彦氏の後任選びが水面下で活発化している。ポスト黒田を巡っては、副総裁の雨宮正佳氏(1979年入行)と、前副総裁で大和総研理事長の中曽宏氏(78年入行)の一騎打ちと予想されている。

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 雨宮氏は企画畑が長く、「日銀のドン」と言われた三重野康氏の秘書役も務め、早くから将来の総裁候補と目されてきた。2013年の黒田氏就任以降は異次元緩和の制度設計を主導。

 ただ、雨宮氏に対して日銀有力OBの間では「財政ファイナンスに近い禁じ手を許した」、「日銀マンの矜持を失った」などと厳しい批判の声がある。次期総裁を巡っても「雨宮総裁では政治と渡り合えず、まともな出口戦略を描けないのではないか」との疑念を強める。

 そこで対抗馬に浮上したのが中曽氏だ。黒田総裁1期目に副総裁を務めたが、異次元緩和には慎重な考えだったとされる。企画畑を歩んだ雨宮氏と異なり、バブル崩壊後の大型破綻処理や、米リーマンショック後の世界的な金融危機への対応など修羅場で汗を流してきた「苦労人」でもあり、部下の人望も厚い。

 恬淡とした性格で知られる中曽氏だが、5月には90年代の日本の金融危機以降の日銀と自らの歩みを振り返った著書『最後の防衛線 危機と日本銀行』を上梓。今後の課題も指摘しており、日銀内では「次期総裁レースへの事実上の出馬宣言」と受け止められている。

 米欧がインフレ対応で引き締め路線に転換する中、日銀に政策修正を求める声も高まる。ただ、国債発行残高の半分を抱えた日銀が財政破綻や市場の混乱リスクを避けながら金融政策を正常化するのは至難の業で誰が総裁になろうともイバラの道。

 政府は参院選後に調整を本格化する構えだが、アベノミクス継承を唱える安倍晋三元首相周辺のリフレ派が雨宮氏を推す一方、異次元緩和の長期化による弊害を懸念する日銀有力OBたちは中曽氏を応援。政治や日銀内部の思惑が複雑に絡み、次期総裁人事はすんなりと決まりそうにない気配だ。

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