【脱炭素】GHG削減に向けた設備投資を実施ーー東ソーの「ハイブリッド経営」
財界オンライン / 2022年6月20日 18時0分
「市況に左右されないスペシャリティを伸ばしていく」
東ソー社長 桒田 守 Kuwada Mamoru
「GHG(温室効果ガス)削減など、利益の源泉だった石炭化学の今後を考えると、ビニル・イソシアネート・チェーンで得たキャッシュを機能商品に投資し、伸ばしていくことが重要」ーー。
前期売上高9186億円、営業利益1440億円と過去最高益の中、社長に就任。
▶【稼ぐ力は過去最高】それでも、積水化学社長が語る「危機感」
2月3日の社長交代会見では、GHG対策など「天気晴朗だが波高し」と心境を述べたが、その後、ロシアのウクライナ侵攻が起き、「波がさらに高くなり、天気まで悪くなってきたという感じがする」。
20年夏頃は1トンあたり50ドルだった石炭価格は今年3月400ドルを突破。「わずかですが、ロシア産石炭を使っていたので、その手当てをどうするかが近々の課題」と語る。
利益の源泉である南陽事業所の強みの1つに、電力会社並みの発電能力があるが「石炭に代わるアンモニア燃料をつくるためにどんな方策があるか。(出光興産コンビナートの)出光さん、トクヤマさん、東ソーが中心となって1つの絵を描くことは必要だと思っている」。
ピーク時の18年はグループで800万トンを超えるCO2を排出していたが、30年までに30%削減、50年にはカーボンニュートラルを目指す。
目標達成に向け、30年までに1200億円の投資を実施。内600億円を今後3年で南陽事業所のボイラー転換などの設備投資に充てる予定だ。
2000年代から「ハイブリッド経営」を標榜。
コモディティ事業と、歯科材料などに使われる「ジルコニア」、抗体医薬品の分離精製に使われる「分離剤」、半導体製造装置に使われる「石英ガラス」など機能商品を伸ばしてきた。だが、それらは「30年以上前に研究開発がスタートした製品。業績が悪く研究開発費を絞った時期もあったが、2010年頃から再度タネを蒔いてきた。そろそろ新しい商品を上市させたい」と期待を寄せる。
今期スタートする新中計では、前期コモディティ6割、スペシャリティ4割だった営業利益比率を「50/50、将来的には4割/6割と逆転させる」ため、22~24年度はバイオ関連のプラント増強を中心に投資を行う方針。
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東ソー社長 桒田 守 Kuwada Mamoru
1960年広島県生まれ。84年大阪大学理学部高分子学科卒業後、東ソー入社。2007年南陽事業所イソシアネート原料製造部長、09年四日市事業所機能材料製造部長、16年執行役員、17年上席執行役員/ポリマー事業部長、20年取締役常務執行役員/クロル・アルカリセクター長兼購買・物流部長、22年3月社長に就任。
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