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【財務省】「貯蓄から投資へ」の環境整備に具体策乏しく

財界オンライン / 2022年6月28日 11時30分

「家計の幅広い層が将来のライフプランを見据え、少額ずつでも継続的、長期的に投資をしていく。環境を整え、家計を後押ししていくことが重要だ」

 政府が6月7日に閣議決定した新しい資本主義実行計画に関し、鈴木俊一財務相は10日の閣議後会見で、家計が資産を貯蓄から投資に回すよう環境整備を急ぐ考えを示した。鈴木氏は「1985年、米国での家計の株式投資信託保有率は20%、日本は18・3%で同じ程度だったが、その後差がついたのは、米国では家計の資産形成を支援する様々な政策的な対応がとられた」とも指摘した。

 一方、加速する円安について鈴木氏は「為替の安定が一番重要であり、急速な変動は好ましくない」として、為替市場での円売りの動きをけん制。「日本経済への影響を、緊張感を持って注視をしている」と語った。

 鈴木氏は円安について「先進7カ国(G7)で合意された考え方に基づき政府として適切に対応していきたい」と繰り返している。だが、低金利が続く日本とインフレ対策で利上げを進める米国と金利差がさらに広がるとの見方は強い。今後、円安が加速すれば、物価高をさらに押し上げ、家計の負担はさらに増すのは必至だ。

 黒田東彦日銀総裁が講演で「日本の家計の値上げ許容度が高まってきている」と発言し、謝罪と発言撤回に追い込まれたことに関連し、鈴木氏は「ウクライナ情勢に伴う原油をはじめとした原材料価格の高騰によるマインドの悪化や、実質購買力の低下など、景気の下振れリスクには十分注意する必要がある」と説明した。

 また、「足元の物価高騰等が経済社会活動の回復の妨げにならないよう、総合緊急対策を策定した」と強調するが、実態は予備費の穴埋めでしかない2・7兆円の2022年度補正予算では力不足なのは明らかだろう。

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