SBI提携地銀で運用含み損続出、真価問われる北尾吉孝氏
財界オンライン / 2022年6月30日 18時0分
「銀行への資本関与はこれからもあり得る」「(新生銀が抱える)3500億円の公的資金は3年で絶対に返す」─こう話すのはSBIホールディングス社長の北尾吉孝氏。
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地銀をグループ化し、大手行の一角の新生銀行も手中に収めたSBIだが、足元では世界的なインフレ圧力の高まりとロシアのウクライナ侵攻を端緒とする市場の混乱という厳しい逆風にさらされている。
これまでに、きらやか銀行(山形市)や島根銀行など7地銀と資本提携し、北尾氏が当面のメドとする「10行」は目前。SBIはこれら各行に対し、有価証券の運用やデジタル金融のノウハウを提供し、将来的には勘定系システムも共通化して経営効率や収益力を高めるシナリオを掲げる。
だが、年明け以降、世界的なインフレ高進と欧米の中央銀行の金融引き締め、ウクライナ危機というショックが重なり、外債も外国株も値を下げる運用難に陥った。その結果、SBI傘下のアセットマネジメント会社に運用を委託していた地銀各行に21億円―121億円の含み損が生じることになった。
新生銀の公的資金返済でも運用力向上が必須。新生銀が新たに策定した中期経営計画では、24年度までに連結純利益を21年度実績の3倍以上に引き上げる方針を示している。このうち150億円分はSBIグループとのシナジー効果を見込む。
新生銀は6月から定期預金の金利を6カ月物で年0.1%とするなど従来の10倍に引き上げた。顧客を増やしてSBIグループの金融商品の販路を広げるほか、獲得した預金を原資に企業向け融資を拡大したい考え。
北尾氏は「新生銀と提携地銀が組んで地元有力企業に協調融資することでナンバー1地銀の座を奪う」という野心的な構想も持つ。実現のためには歴史的な運用難の中、SBIが運用の腕をさらに磨くことが必要になる。
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