「日本売り」以来の円安水準、求められる産業構造の変革
財界オンライン / 2022年7月4日 11時30分
日銀の政策修正も難しく…
2022年6月13日、為替は一時、1ドル=135円台を付けた。この水準は1998年以来24年ぶりの安値。98年といえば、前年に北海道拓殖銀行、山一證券が破綻、同年に日本長期信用銀行(現新生銀行)が破綻するなど、日本の金融危機真っ只中で「日本売り」の局面にあった時代。
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この要因は、足元で金融引き締め、利上げに動く米FRB(連邦準備制度理事会)や7月の利上げ方針を示したECB(欧州中央銀行)と、金融緩和政策を継続している日本銀行の政策とが真逆を向いていることが大きい。財務省と金融庁、日銀が急速な円安進行を〝憂慮〟するとの声明を出したが、歯止めにはなっていない。
また、この円安は、根本的には日本の生産性の低下、国力が低下していることの現れと見る声も強い。
日銀に政策修正を求める声も出るが、国債発行残高の半分を抱えた日銀が、財政破綻や市場の混乱リスクを避けながら金融政策を正常化するのは至難の業。
家計の負担感は増している。「消費は減っていないが、その分貯蓄にシワ寄せが行き、貯蓄が減り続けている。これは家計にとって痛み」と指摘するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏。
22年3月期決算で、自動車など輸出企業を中心に大企業の業績数字自体はよかったが、例えば自動車メーカーで言えば、営業利益に占める為替影響は約20~25%となるなど円安効果も大きく、今期は減益を見込むなど各社は今後について全く楽観視していない。
また、中堅・中小企業については、輸出比率は総じて言えば10%程度で、足元の円安の〝恩恵〟すら受けられていないのが現状。どう対応するか?
一言でいえば、生産性の向上であり、付加価値の高い事業の創出、人的資源の見直しだ。企業の「新陳代謝」が必要との論調もあるが、中小企業支援を掲げる政治としては難しい判断。
NYダウが3月下旬から8週連続下落したが、これは世界大恐慌以来90年ぶりのこと。「恐慌前夜」という声も出るが、まずは各企業が自らの足元を固めて、本業に打ち込む他ない。
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