【深谷龍彦・ネスレ日本社長兼CEO】「沖縄をコーヒー豆の一大産地へ」
財界オンライン / 2022年7月5日 18時0分
沖縄をコーヒー豆の一大産地へ─。当社は「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」を存在意義(パーパス)に掲げ、個人と家族、コミュニティ、地球の3つを影響分野に位置づけています。
【農林水産省】サーモンの生産拡大がカギ 国産魚介類の消費喚起へ
そのうちのコミュニティでは、2010年から「ネスカフェ プラン」というコーヒー豆のサプライチェーンを継続的に改善することを目的としたプログラムにグローバルで取り組んでいます。コーヒー豆の栽培から製品の製造・流通・消費まで全ての工程に関与することで、コーヒー豆の生産農家の皆様に恩返しをすることが目的です。
近年、コーヒーの木の老化や気候変動による病気、栽培従事者の減少、コーヒー豆の収穫量低下、取引価格の変動などにより、特に小規模農家の皆様の生計とコーヒー栽培業の持続可能性が脅かされています。
一方で日本の1次産業に目を向けてみると、特に沖縄県では耕作放棄地の増加が課題となっています。沖縄特有の気候で作られるものと本州で多く食べられるものとのミスマッチがあることに加え、輸送料が高いことなどから価格面でも対抗できず、沖縄で農業は厳しいという声をよく聞きました。
そのような状況の中、沖縄県を拠点とするサッカークラブ・沖縄SVの代表を務める髙原直泰さんから、当社に「沖縄でコーヒー豆を栽培することにチャレンジしたい、協力いただけないか」という打診をいただきました。コーヒー豆の栽培に適した「コーヒーベルト」は北緯25度から南緯25度とされていますが、北緯26度の沖縄本島はぎりぎり適地に入ります。
日本国内では、沖縄県外で栽培できる可能性が低く、全国的にたくさん消費されるコーヒー豆の栽培が軌道に乗れば、沖縄県が抱える1次産業の課題解決にもつながり、耕作放棄地などを活用した栽培を通じて、沖縄県産コーヒーを新たな特産品へと育成することができます。そうなれば、新たな産業育成の可能性も出てきます。
そんな趣旨に賛同してくれたのが名護市と琉球大学です。沖縄で大規模な国産コーヒーの栽培を目指す「沖縄コーヒープロジェクト」を
19年4月からスタートし、産官学連携の取り組みを行ってきました。
住民や農家の皆様の協力でコーヒー豆の栽培地は11カ所に広がり、22年4月時点で累計約6500本の苗木が植樹されました。このうち最初の2年間に植えた木が今冬から来春にかけて収穫を予定しています。
さらに、うるま市とも連携し、同市内の耕作放棄地に新農場を開設してコーヒーを活用した地域活性化に取り組みます。新農場は7月に整備を開始する予定となっており、コーヒーをはじめとした農作物の栽培に福祉事業所で働く障がい者の方々に従事していただくほか、市民の憩いの場となるユニバーサルカフェも来年3月に併設する予定です。
沖縄の土壌や気候に適した栽培方法を確立し、観光客が収穫を体験して、その場でコーヒーを試飲できるアグリツーリズムのような形態に育てると共に、中長期的には「ネスカフェ」ブランドでの製品化も視野に入れています。今年4月からはネスレの専任の社員が沖縄に駐在して、プロジェクトの推進を強化しています。
いつか沖縄県産のコーヒーが当たり前になる世の中を目指し、当社は様々なパートナー様と協力しながら、一歩ずつ大事にこのプロジェクトを育てていきたいと思っています。
この記事に関連するニュース
-
生産者の多様性に注目した新たな価値!弾ける笑顔に育まれたブラジルコーヒーをリリース
PR TIMES / 2024年11月22日 10時45分
-
新東名沿線の“耕作放棄地”に着目…NEXCOの社員が畑再生し『枝豆』を栽培 コーヒー農園経営も視野に
東海テレビ / 2024年11月14日 21時27分
-
「家族全員がそろって生きていることだけでも感謝」…被災した能登の栗農家が「静岡への移住」を決断できた理由
プレジデントオンライン / 2024年10月29日 16時15分
-
【注目】生産量全国2位で世界的にも高評価!急速に広がる静岡のオリーブ栽培…その秘密にフォーカス
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年10月28日 18時9分
-
伊豆の農園で今秋実ったオリーブを収穫!
PR TIMES / 2024年10月28日 16時45分
ランキング
-
1「トイレ流せない…」水道代にも値上げの波 千葉で水道代を2割“値上げ”方針 住民からは悲鳴も【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 21時9分
-
2関西財界訪中団、邦人の安全確保に懸念 短期ビザ免除再開に期待も 投資意欲は持続
産経ニュース / 2024年11月25日 18時19分
-
3なぜ「モータースポーツ新会社」設立? GRとは違う「TGR-D」誕生!? トヨタ会長が語る会社分割の狙いとは
くるまのニュース / 2024年11月25日 23時10分
-
4政府、次世代太陽電池を導入へ 40年度目標、20ギガワット
共同通信 / 2024年11月25日 21時5分
-
5薄力粉値上げ=パスタ製品は値下げ―日清製粉ウェルナ
時事通信 / 2024年11月25日 17時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください