【経済安保】台湾・TSMCが茨城に新たな半導体の研究開発拠点を開設
財界オンライン / 2022年7月8日 11時30分
ファウンドリー(半導体受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、茨城県つくば市に新たな研究開発拠点を開設した。建設費の約半分にあたる190億円を日本政府が助成する形で、半導体を重ね合わせて性能を高める最先端半導体の製造技術の確立を目指す。
「産業のコメ」と言われる半導体。パソコンやスマートフォン、自動車など、現代の生活に不可欠なもので、今後も持続的な成長が見込まれている。
長期化する米中ハイテク覇権争いや深刻な半導体不足など、半導体のサプライチェーン(供給網)構築は大きな課題。このため、各国は半導体の確保が大事だとして、自国にファウンドリー企業を誘致している。
今回、TSMCがつくばに拠点を設けたのも、日本政府の誘致によるもの。TSMCは熊本に半導体製造の新工場を建設することもすでに決めており、日本政府は4760億円を助成する。TSMCが台湾以外に拠点を持つのは珍しく、経済産業大臣の萩生田光一氏は「次世代半導体の製造技術開発を、国際連携のもとで進める重要性を感じている」と語る。
半導体の安定供給を図ることは、経済安全保障の観点からも重要である。とはいえ、「日本企業ならともかく、外資に多額の税金を投じていいのか?」、「仮にTSMCが撤退したら日本には何が残るのか?」という声や巨額の支援金に見合った成果を得られるのかなど、不透明な部分も多い。
元経産官僚で、明星大学経営学部教授の細川昌彦氏は「中国はどういう技術が欲しいのか、ショッピングリストをつくって組織的に動いている。日本も虎の子の技術を真剣に守りたいのであれば、海外にどんな脅威があり、日本は何を守るべきなのか、官と民でしっかり共通認識を共有すべき」と指摘する。
経産省が「これが日本の半導体復活のラストチャンス」と強調する中で、TSMCの誘致を機に再び、日の丸半導体は浮上することができるのか。
【日本のガバナンスを問う】上村達男・早稲田大学名誉教授
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