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日本総合研究所会長・寺島実郎「危機に対する国と社会の対応力、レジリエンスが問われている」

財界オンライン / 2022年7月8日 7時0分

コロナ禍の2年間で見えてきたことは何か?
 ―― コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻、そして足元の円安・原材料高と、世界経済を巡る不透明感が増しています。こうした現状を寺島さんはどのように見ていますか。

 寺島 コロナ・ウクライナ問題の教訓ということで、経済人として、この問題をどう受け止めるべきか。これは一般論ではなく、経済人や産業人、いわゆる、経済の現場で経営の責任を担っている人として時代をどう見るか。こういう視点が大事だということをお話したいと思います。

 まず、コロナについてはっきり見えてきたことは、経営者としてウイルスの特性を再確認する必要があるということです。

 例えば、新型コロナウイルス感染症の致死率の推移を見てください。約2年前の2020年5月、コロナによる世界全体の致死率は7・11%でした。英国では15・37%、フランスは14・69%、米国は5・86%、そして日本は3・25%でした。つまり、日本でもコロナに感染した100人のうち3・25人は亡くなっていたことになります。

 ところが、2年が経った今年4月時点では、世界全体の致死率が1・23%まで減少し、日本は0・39%まで下がってきました。ということは、100人がコロナにかかっても1人も死なない水準だということです。

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 ―― こうした数値を押さえておくべきだと。

 寺島 何を言いたいかというと、われわれは断片的な専門家という人たちの話に揺さぶられるのではなくて、コロナの問題一つを考えるにしても全体知がいるということが、大きな教訓だったということです。

 結局、何の専門家なのかということも報道せずに、ある日突然、統計数理の専門家と言われる人が、「行動制限をしなければ42万人の人たちが亡くなってしまう」と言いました。

 そこから日本は自粛、自粛の繰り返しに入っていくわけですが、これが、日本が必要以上にコロナに対して縮みあがってしまい、もっと言えば、萎縮する大きなきっかけになったと言えます。われわれは全体観、全体知をもってこの問題に向き合っていかなければならない、ということを教えられたわけです。

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 コロナに関して、もう一つの教訓は、100年前のスペイン風邪との比較です。1918年から1920年までのスペイン風邪によって、世界で約4千万人が亡くなりました。今回のコロナによって世界で亡くなった死者数は約630万人です。

 ―― コロナによって、そんなに多くの方が命を落としたわけですね。

 寺島 日本では死者数の累計は約3・1万人です。100年前のスペイン風邪の時は、内地で約45万人、当時の日本の植民地だった台湾や朝鮮半島、サハリンなどの外地で約29万人が亡くなりました。そこから考えたら、もちろん、3万人という数も少なくないですが、100年前はもっと多くの方が尊い命をなくしたことになります。

 ところが、当時の資料やデータを見ても、不思議なくらいパニックにはなっていません。

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