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【金融庁】中島淳一長官が2期目突入 後継レースに早くも関心

財界オンライン / 2022年7月18日 11時30分

金融庁は中島淳一長官(1985年旧大蔵省)体制が2期目に突入した。東大工学部計数工学科卒で、昨夏の就任時に「理系初の長官」として霞が関で話題を集めた中島氏。1期目は銀行のシステム障害を頻発させたみずほフィナンシャルグループ(FG)への行政処分や、仮想通貨(暗号資産)も含めたマネーロンダリング(資金洗浄)対策の強化などに追われた。

 総仕上げとなる2期目も、新型コロナウイルス禍で打撃を受けた地方企業の再生への取り組みや、ロシアのウクライナ侵攻や世界的なインフレ圧力の高まりで動揺する金融市場の安定化、道半ばの地銀再編の促進など難題が山積み。刷新された主要3局長が中島氏を支えてどこまで奮闘するか注目される。

 金融界では、来夏の”ポスト中島”の行方にも関心が集まっている。

 筆頭局長である総合政策局長には、監督局長を歴代最長の4年務めた栗田照久氏(87年同)が昇格した。99年に旧大蔵省から金融庁の前身の金融監督庁に転じた栗田氏は、監督局証券課長や大手行を担当する銀行第一課長など監督行政の主要ポストを歴任。

 3度目の大規模システム障害を起こしたみずほFGの行政処分では、「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と組織体質を厳しく指弾した上で、FGの会長、社長と銀行頭取の3トップを退任に追い込み、経営責任を明確化させ、剛腕ぶりを知らしめた。

 後任の監督局長には総括審議官だった伊藤豊氏(89年同)が就いた。東大野球部出身のスポーツマンで、出身母体の財務省でも「将来の次官候補」とされた逸材だ。

 15年7月から4年間務めた財務省秘書課長時代には、森友学園への国有地売却を巡る公文書改竄問題で揺れる組織の立て直しと改革を陣頭指揮した。3年前に金融庁に転じたのは「本人の強い希望」といい、ここ数年は地方創生に向けて、大企業で働いたキャリアを持つ人材や専門職を地銀・信金を通じて地方の中小企業につなぐ橋渡し事業にも注力してきた。

 企画市場局長には総合政策局政策立案総括審議官だった井藤英樹氏(88年同)が就任。企画市場局長としては日本の金融のあるべき姿を展望した制度づくりなどに取り組む。財務省時代の広報室長を経験し、マスコミからの受けもいい。

 いずれの局長も持ち味があり、三者三様だが、金融界や霞が関の関心は次期長官レースに注がれている。庁内では「栗田氏と伊藤氏の2人に絞られた」とも見方が有力だ。入省年次は伊藤氏が2年後輩だが、年齢は同い年。60歳定年ルールを考慮すれば栗田氏が先に長官に就いて、その後を伊藤氏が襲うシナリオは考えにくいという。

 栗田氏の剛腕ぶりを買うのか、あるいは財務省で官房中枢も務めた伊藤氏のバランス感覚の良さを評価するのか。もちろんこの1年の両氏の奮闘ぶりにも依るが、中島長官が自らの後継者としてどんなタイプの人材を選ぶか、注目される。

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