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漁業者の労働環境改善へ 【くら寿司】がハマチのAI養殖

財界オンライン / 2022年7月13日 7時0分

生けす上に設置されたスマート給餌機

漁業者の働き方改革に回転ずし大手が乗り出す。くら寿司はAIやIoTを活用した「スマート養殖」で育てたハマチの握りずしを全国で期間限定発売。商品での差別化というよりも、漁業における人手不足や労働環境の厳しさを解消する狙いだ。

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「養殖にかかるコストの7~8割は餌代。このコストを下げると同時に労働環境も改善したい」(くら寿司関係者)。AIなどを活用したハマチのスマート養殖の成功は日本初。同社の子会社と水産ベンチャーのウミトロンで共同開発したスマート給餌機は、AIが魚の食欲を画像
解析することによって給餌の量やタイミングを最適化できる。

 ハマチは一度に多くの餌を食べるため、生育に必要な量を無駄なく食べさせるように、一度に短時間で大量の餌を投入しながら、人の目で食欲状態を確認することが一般的。そのため、毎日生けすに行くことが必須だった。ところがスマート給餌機を活用すれば、生けすに行く作業は2~3日に1回で済む。

 さらに価格高騰が続く餌代も削減できる。AIが泳ぎ方などを分析し、適正な量を判別するからだ。実際、愛媛県宇和島市内の生産者2社と契約を結んでハマチの委託養殖事業を始めているが、「従来と比較して餌の量を約1割削減できた」(同)。

 漁業者の負担が軽減されるのがスマートフォンを使って、いつでも、どこでも、ハマチの様子を確認できる点だ。しかも、餌の量やタイミングなども遠隔地から操作できる。

 水産大国であった日本の漁業は大きな節目を迎えている。中でも後継者不足は喫緊の課題だ。13年に18・1万人だった漁業就業者は33年には8・9万人と半分以下になると予測されている。くら寿司にとって「水産物の安定供給は欠かせない」(同)。

 同社は今後、他の魚種にも広げていく考え。ただ、「漁業者の労働環境が劇的に変わらなければ若い人は集まらない」(外食関係者)との声も上がるだけに、同社の本気度が試される。

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