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【株価はどう動く?】円安は日本経済復活につながる!FRBは「綱渡り」のカジ取り

財界オンライン / 2022年7月15日 11時30分

米国株は「波高し」日本株は「底入れ近し」
 2022年6月21日のニューヨークダウは、前日比641ドル高となりました。その前日には「寄り引け同値線」が出ています。酒田五法では「寄り引け同値、翌日陽線」は上昇のサインです。ただし、まだ確認はできていません。

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 この後、確実に陽線が出て、下げ過ぎの反動高となるかどうかに注目しています。

 NYダウの下げ止まりが確実になっていませんから、東京株式市場の動きも、それに連動して、あまり強くありません。NYダウが、またいつ下落するかと慎重になっているからです。

 ただし、日経平均はNYダウが大幅に下げた日でも、それほど下げていません。今のところ、22年3月9日の安値、2万4681円を下回っておらず、「逆三尊」の形が守られています。

 ただし、21年9月14日の二番天井、3万795円から、22年3月9日の2万4681円までの下げ幅の半値戻しが2万8000円前後ですが、その壁は突破できていません。

 今年は3月25日の2万8338円が戻り高値で、その後、6月9日に2万8389円と、ほぼ同値ですが、2万8000円台の壁を突破できませんでした。ここがダブルトップになって、今下落しています。

 6月9日の高値を付けた後、株価は急落しましたが、「四空」といって、4回窓を開けて(一気に株価が上昇、または下落したことを意味)います。酒田五法では「三空(四空)叩き込み」といって、かなりの底入れ型です。

 ですから日本株は、この後ニューヨーク株によほど大きな下げがない限り、すでに底入れの兆しありという状況になっています。ただし、6月20日の安値、2万5520円から、底入れするとしても日柄調整します。底値圏で揉み合いをしながら、買い材料が出たところから上がってくることになるでしょう。

 日本株に関していえば、逆三尊を入れて、6月9日の高値、ダブルトップの後の「四空」を経て、6月20日の安値で当面の底入れという形になっています。ですから、この後戻っていく可能性があります。

 日本株の行方を左右するものとして、NYダウがこの後、底入れ感が出て戻るかどうかが焦点になります。

 国内では以前から指摘しているように、株高要因として円安が進んでいます。物価高になっていますから、この円安状況に対する批判の声も強いわけですが、私はメディアが喧伝するような「悪い円安」ではなく、「良い円安」だと考えています。

 デフレを脱却し、物価目標2%をようやく達成することができます。日本が適度なインフレ経済に向かうきっかけとなるのではないかと見ています。

 もう一つ、この円安によってインバウンド(訪日外国人観光客)の流入が進むことになります。これによって消費が刺激されますから、日本の景気がよくなる要因になります。

 足元の円安は、大企業業績に好転につながっています。円安で輸出が伸びれば、今後設備投資が出てきます。そうなると雇用増、賃金上昇という好循環が生まれる可能性があります。

 さらに、アベノミクス相場以来、「選挙は買い」という経験法則もあり、7月10日の投開票日に向かって、日本株は底入れし、反転上昇の兆しが出てくるというのが現在の見通しです。

インフレか、リセッションか
 リスクとして懸念しているのは米国のインフレです。FRB(米連邦準備制度理事会)は次回も金利を0.75%引き上げるかもしれませんが、多少金利を上げても、米国経済は完全なバブルですから、簡単には収まらないと思います。

 過去、日本では日本銀行がバブルを抑えるために、急速な利上げ、過度な金融引き締めを行ったことで、日本経済は1990年にバブル経済がピークアウトして、その後株価は大暴落しました。

 そして1ドル75円という超円高で日本の大企業は大打撃を受けました。その後、「失われた20年」、「失われた30年」、デフレ大不況がやってきました。その意味で米国経済は今、非常に危うい状況にあると見ています。

 FRBはインフレか、リセッションかという選択を迫られています。インフレを抑えるためには今後さらに利上げ、金融引き締めをしなければなりませんが、それをやり過ぎると「オーバーキル」になってリセッションになってしまいます。

 リセッションを回避したいがために、金融引き締めを穏やかにやるとインフレは収まりません。ですから非常に難しいカジ取りで、かつての日銀のような強烈な金融引き締めと利上げの方向に行くのか、オーバーキル回避のために、外科的治療ではなく漢方的治療を選ぶのか。ただ、この場合にはインフレは高止まりするでしょう。

 もう一つの難題は、インフレを抑えると同時に景気を悪化させないようにしなければならないということです。そして、状況がどちらに転んでも、中間選挙に向けては民主党にとって不利です。ガソリン代や食料価格が上昇し、国民は不満を持っていますが、それを抑えるために強烈な金融引き締めをすると景気後退(リセッション)、不況になってしまいます。

 兆しは、すでに住宅ローンに出ています。ローン金利が跳ね上がり、今後住宅市場が冷え込む恐れが出てきているのです。6月下旬から11月の中間選挙に向けて、FRBは綱渡り的な政策を強いられることになります。

 一方、バイデン政権はウクライナ支援という難しい外交政策に直面しています。一歩間違えればロシアと対決することになりかねません。まさに民主党、バイデン政権は「内憂外患」という状況です。ですから米国株は一時的に下げ過ぎの反動高はあっても、どこかでさらに大きく下げる局面がやってくるのではないかと見ています。

 ただ、その時でも日本株は下げ渋るでしょう。今後は、米国株は大波乱、「波高し」の状況の一方、日本株は「底入れ近し」というのが、今の私の相場見通しです。

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