膨張続くガソリン補助金 支給額40円突破、出口見えず
財界オンライン / 2022年7月15日 15時0分
政府のガソリン補助金の膨張が続いている。当初1㍑当たり5円だった補助金上限は、4月下旬に実施された拡充により、35円に拡大し、35円を超えた場合は超過分の半額を支給する制度に改められた。
この結果、1㍑当たりの支給額は、6月半ばに初めて40円を突破。本来は市場を反映し変動するはずのガソリン価格は、170円台前半に抑え込まれる状態が続いている。消費者や石油元売り業界には歓迎する声があるものの、際限なく膨張する財源や、市場価格をゆがませる制度への懸念も出始めた。
現在のガソリン補助金については、「政府が家計の負担を肩代わりするため、貯蓄などへの流出が少なく効果は大きい」(エコノミスト)との見方もある。
ガソリン税などを一時的に引き下げる「トリガー条項」と違い、灯油や重油、軽油も対象としている。地方のガソリンスタンド経営者からは「十分な激変緩和措置になっている」と評価する声が聞かれる。
しかし、当初1㍑当たり5円だった補助金上限は、原油価格の高騰を背景に繰り返し引き上げられてきた。参院選でも物価高対策が争点の一つとなる中、自民党はその実績を前面に押し出しており、制度の出口に向けた議論が進む気配はない。
ある与党幹部はこの現状を憂い、「補助金を手厚くしすぎると、制度の終了が難しくなる」と警鐘を鳴らす。萩生田光一経済産業相が「永遠に補助金を足し増ししていくのは現実的ではない」と指摘するように、支給額が拡大するほど終了時の反動は大きくなる。
制度の恩恵を受けている石油元売り業界からも、「いきなり制度が終了となると、大きな金額が一気に動く。店頭、物流に混乱が起きないようにしていただきたい」(杉森務・ENEOSホールディングス会長)との声が上がる。
現在は食品による押し上げ圧力が引き続き強い一方、ガソリン代は補助金によって抑制されている。しかし、際限のない「ばらまき」のツケは必ず来るという指摘も出ている。
【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 日本エネルギー経済研究所理事長・寺澤達也
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