ロシアが「サハリン2」譲渡を要求 日本のLNG調達に懸念
財界オンライン / 2022年7月20日 11時30分
岸田首相は原発再稼動にどこまで踏み込めるか
ロシアのプーチン大統領は、日本の大手商社が参加する極東サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」に関し、ロシアが新設する会社に移管し、現在の事業会社の資産を無償譲渡するよう命じる大統領令に署名した。事業主体の企業を事実上、ロシア政府が接収するもので、ウクライナ侵攻を受けた日本の対ロ制裁への報復とみられる。日本企業が事業を継続できるかは、極めて不透明な状況となった。
サハリン2の事業会社サハリンエナジーには、ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムが約50%、三井物産が12・5%、三菱商事が10%それぞれ出資している。年1千万トンの液化天然ガス(LNG)生産量のうち、約600万トンが日本向けで、他は韓国などに輸出。日本のLNG輸入に占めるロシアの割合は9%程度で、このうちのほぼ全量をサハリン2が賄っている形だ。
大統領令によると、サハリン2に出資する三井物産と三菱商事は、1カ月以内にロシア側が事業を移管する新会社の株式取得を申請する必要がある。
萩生田光一経済産業相は、「直ちにサハリン2から輸入がなくなるわけではない」との認識を示しており、外交ルートを通じ、説明を求めていると明らかにした。現在、ロシア政府が日本企業に求める各種手続きの期限や、出資条件を含めて説明を求めているという。
中東へのエネルギー依存度が高い日本にとって、サハリンプロジェクトは「電力・ガス供給に不可欠なエネルギー源」(エネルギー白書)。長期契約のサハリン2からのLNG調達がなくなれば、代替分は高騰するスポット市場での購入が必須となり、国内の電力・ガス価格のさらなる高騰は避けられない。
現在は猛暑による電力需給逼迫を背景に全国で7年ぶりの節電要請が出され、与党内では原発待望論も広がっている。参院選を乗り切り、当面は大型の国政選挙がない「黄金の3年間」に入った岸田文雄首相が国民の反発が根強い原発復権にどこまで踏み込むか。電力不足が常態化する中、原発を巡る議論はこれ以上先送りできない。
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