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【株価はどう動く?】日本に求められる「技術革新企業」、政府の政策もリスク要因

財界オンライン / 2022年7月25日 7時0分

世界の株価を牽引したナスダックの今後
 この連載で指摘し続けてきましたが、今回の世界的株高は一旦終了しました。この出発点は短期、長期の波動で違います。長期では、2009年3月の日米の株価の底からの上昇です。短期で見るならコロナショックの2020年2月、3月の日米の株価の底からとなります。

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 この短期、長期の上昇波動が21年11月22日に、米国のナスダック指数が1万6212ポイントを打って天井を付けました。

 これは以前に指摘した超長期の波動の天井でもありました。この出発点は1982年8月の安値で、ここから40年間の上昇となりました。この上昇の要因は81年9月の米国金利15%台をピークとした後、約40年に及ぶ金利低下、金融緩和でした。

 40年波動でのハイテク相場の大天井が、21年11月22日のナスダックの1万6212ポイントでした。この水準は当分抜けないのではないかと見ています。

 超長期だけでなく、長期、短期の上昇波動も終わったわけですが、この間、相場を牽引していたのがナスダックでした。その背景には金利低下、金融緩和といった経済要因に加えて、技術革新があったのです。

 技術革新を起こした企業は目覚ましい業績になりますから、当然株価が上がります。その代表格がアマゾンやテスラです。相場が波動通りに動くかどうかは、技術革新が起きるかにもかかっていたということです。

 言い換えると、波動と株価の行方を左右する情報のマッチングが大事で、その最も有力な情報が技術革新だということです。

 世界の株高を牽引してきたナスダックが短期のサイクルで当面の底入れをすれば、戻り相場があります。ただ、長期の波動では完全に天井を付けていますから、21年11月22日の高値は簡単には奪還できないでしょう。

 短期的には下げ過ぎの反動高が必ずありますが、直近、ナスダックで始まってきた可能性があります。前述の21年11月22日の1万6212ポイントから、すでに35%近く下落しています。それが6月16日の安値、1万565ポイントです。

 歴史的天井を付けた後の下げ幅は、30ないし40%というのが経験法則です。最高値から40%下げたら9700ポイント近辺ですから、最も厳しい場合にはナスダックの1万ポイント割れもあり得るのではないかと見ていました。ただ、当面は6月16日の1万565ポイントで底入れして、戻りそうな雰囲気です。

 戻るといっても大きな下げの中での戻りです。以前も指摘しましたが米国株はすでに天井圏で、歴史的な天井を付けた可能性がありますから、下げ過ぎの反動高で戻っても、戻っては売られを繰り返して、次第に安値水準を切り下げていくという展開が予想されますから、戻ったからといって安心はできません。

 下げ幅の3分の1戻し、もしくは直近の戻り高値あたりまで戻すというのが、下げの過程の中でのリバウンドの経験法則です。最近の戻り高値がどこかというと、6月2日の1万2320ポイントです。ナスダックは1万2000ポイント近辺まで戻す可能性があると見ています。

 この水準を越えられないようであれば再び下落して、次は1万ポイント割れもある展開が予想されます。これを突破できるようであれば、次の壁が1万4000ポイントです。

 こうなると日本の方もマザーズ指数(市場再編後も指数は継続して算出)も底入れして、戻る可能性が高いと見ています。マザーズ指数で見た場合、6月20日の607ポイントが当面の底となって戻りそうです。ナスダック指数がリバウンドすれば、マザーズ指数も戻ります。

 波動から見ると、マザーズ指数の安値は20年3月13日のコロナショックの527ポイントですが、足元でここに近い水準まで下落しています。6月20日の607ポイントが当面の底であれば、コロナショックの安値527ポイントに対してダブルボトムを形成して戻ることになります。

 マザーズ指数の直近の戻り高値がどこかというと7月5日の843ポイントです。つまりナスダックの1万2000ポイント、マザーズ指数の840ポイント前後まで戻る相場が、この後やってくる可能性があります。

 そういう動きから見ると、すでに天井を付けて下落中の米国のニューハイテク株も、目先は買い場ではないかと見ています。日本のハイテク株も業績の見通しのいいものは買い場が近づいていると言えます。

 しかし日米の株式市場全体は今なお下落調整トレンドが続いているのが現状です。ニューヨークダウの方も、今年年初の1月5日に高値を付けて以来、下落調整局面が続いています。6月13日に一度3万ドル割れをしていますが、この近辺までで下げ止まるかどうかが、これからの一番の重要ポイントです。

 この後、6月17日の2万9653ドルという直近の安値を下回るようであれば、日米の株式市場は厳しい下げになります。3万ドル割れは一つの重要なチェックポイントになります。

 日米の株式市場の長期の動きを指摘すると、米国は歴史的天井を付けましたから、少なくとも、1年程度は休むというのが経験法則です。下落調整局面が、もっと長引くかもしれませんが、世界で最も企業の技術革新が期待されるのは、やはり米国です。相場の波動から見て、歴史的天井は付けましたが、日柄調整が終われば再び新しい技術革新企業が牽引する相場がやってくる可能性があります。これが米国の強さです。

 一方、日本は89年末に天井を付けてから30年の下落調整局面が続いています。なぜなら、日本の弱みは世界に通じる技術革新企業が出てこないことです。ですから、日本の株価の山は低い。

 そして日本の場合にはバブル崩壊時の政策不況がありました。日銀の金融引き締め、大蔵省(現財務省)による不動産分野への総量規制を急に行ったために、マーケットをスクイーズしてしまったのです。現在の岸田政権が規制強化や増税などで政策不況を招かないかどうか
が、足元の懸念材料です。

 技術革新企業の登場、政府の政策が今後の株価と日本の運命をも左右することになります。

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