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東京海上が「同意なき転勤」を撤廃へ、多様な働き方に試行錯誤

財界オンライン / 2022年7月29日 11時30分

大手損保初の取り組み
「全社的に人事の考え方を変える必要があります」と話すのは、東京海上日動火災保険(広瀬伸一社長)の関係者。

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 近年、「転勤制度」のあり方を見直す動きが強まっている。これまで多くの日本企業、特に大企業の正社員は、勤務地や職務などを限定しない働き方が求められてきた。

 だが、共働きが増加したことで、配偶者の事情もあって、簡単には転勤に同意できないケースや、親の介護、子育てなど、転勤には個人の事情に配慮する必要があるという声が強まる。

 その流れの中、東京海上は2026年度を目処に本人の同意がない転居を伴う転勤を撤廃する方針。同社は社員の採用を大きく、国内外を問わない勤務地域で経験を重ねる「グローバルコース」と、地域を限定した働き方をする「エリアコース」とに分けている。

 近年は、そのグローバルコースに属する社員の間でも、急な転勤への抵抗感が高まっていることなども背景にある。今後は、社員から勤務地の希望や転勤に同意するか否かについてのヒアリングを行い、人事部はその内容を参考に異動先を決め、実際の異動時には本人の同意を得る形とする。

 最近ではNTTやヤフーが「原則テレワーク」を打ち出すなど、転勤のない働き方を進めるIT企業が出てきている。今後、特に若い世代は、こうした柔軟な働き方ができる企業を志望する可能性があるため、金融機関である東京海上も対応に動いた形。

 だが、転勤を伴う異動は本人の幅を広げるといった、会社がキャリア形成上必要だと判断したものでもある。会社の判断と本人の同意をどうバランスさせるか。「一朝一夕にはいかないと思う」と東京海上関係者。当面、試行錯誤が続く。

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