ミャンマー合弁の株を売却 海外戦略再考迫られる【キリン】
財界オンライン / 2022年8月1日 15時0分
キリンホールディングス(HD)が海外戦略の再考を迫られている。同社はミャンマー国軍系企業と合弁で運営していたビール会社「ミャンマー・ブルワリー(MBL)」の全保有株式をMBLに売却する。
日本初の炭酸水でビールを割る 【サントリー】がビール市場テコ入れへ
副社長の西村慶介氏は「MBLによる自社株買いは考えられる選択肢の中で最良の選択肢」と語る。当初は第三者企業への売却を目指していたが難航。西村氏によれば第三者への売却にはMBLの親会社であるミャンマー・エコノミック・HDの承諾が必要で「提案しても断られ
た」。
ミャンマー事業を手放すことになったキリンHDは、2015年にシンガポールの飲料大手からMBL株を約700億円で取得してミャンマーに進出。クーデター前の20年12月期にはキリンHDの事業利益の1割弱を稼いでいた。現地でのシェアは約8割で利益率も高く、「政変前まで
は我々の期待を上回る成長を実現し、収益に貢献してきた」(同)。
今回のキリンHDの動きを大手ビール会社の関係者は「買収した15年にミャンマーの政変まで見越すことは難しい」と同情する。MBLに約224億円で売却することで、懸念事項だったミャンマー撤退に目途をつけたが、結果としてキリンHDはビール4社のうち海外展開で出遅れることとなった。
アサヒグループHDは売上収益に占める海外比率が46%、事業利益で65%(共に21年12月期)を占めており、サントリーHDも米ビームサントリーが好調で、売上高はコロナ禍以前を超えた。サッポロHDも日本メーカーでシェア首位の米国においてクラフトビールメーカーを買収し北米での製造拠点を手に入れるなど地歩を固める。
キリンHDは11年に設立した中国の華潤集団との合弁を解消し、ブラジルからも撤退。豪州でも飲料事業を売却するなど、最近では北米のクラフトビールメーカーの買収を完了させたくらいだ。
西村氏は「国外にはまだ成長している市場がいくつもあり、積極的に出て行って果実をとる」と強調。インドなどの新興国でのM&Aを視野に入れる。ミャンマー撤退を教訓にできるか。目利き力が試される。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
猛暑と備蓄需要で大型2Lペットボトルの販売好調 国内牽引して東洋製罐GHDの包装容器事業が増収増益
食品新聞 / 2024年11月14日 16時17分
-
USスチール買収で注目、「日本製鉄」株価5年で2倍、配当利回り5%に上昇の理由は? 事業再編で費用先行も利益率の改善が進む今後
Finasee / 2024年11月11日 6時0分
-
今のうちに買いたい12月のおすすめ優待銘柄
オールアバウト / 2024年11月8日 12時20分
-
日鉄とミタルが米合弁を解消へ USスチール買収へ苦渋の決断
財界オンライン / 2024年10月29日 20時30分
-
大和証G、7ー9月純利益は前年比8割増 あおぞら銀の持ち分適用化で
ロイター / 2024年10月29日 17時28分
ランキング
-
1なぜ「モータースポーツ新会社」設立? GRとは違う「TGR-D」誕生!? トヨタ会長が語る会社分割の狙いとは
くるまのニュース / 2024年11月25日 23時10分
-
2「オレンジの吉野家」より「黒い吉野家」のほうが従業員の歩数が30%少ない…儲かる店舗の意外な秘密
プレジデントオンライン / 2024年11月26日 7時15分
-
3「トイレ流せない…」水道代にも値上げの波 千葉で水道代を2割“値上げ”方針 住民からは悲鳴も【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 21時9分
-
4「ソニーKADOKAWA連合」、アニメ業界に走る激震 「ソニーにやられた」、買収すれば勢力図は一変か
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 7時40分
-
5「レプリコンワクチンのデマに徹底的に対抗する」 不安に対しMeiji Seika ファルマ社長が答えた
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 7時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください