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《攻めの巨額投資》パナソニックが米国にEV向けの電池工場を建設へ

財界オンライン / 2022年8月4日 7時0分

楠見 雄規氏

パナソニックホールディングス(楠見雄規社長)は、米中西部カンザス州デソトに、40億ドル(約5500億円)を投じて電気自動車(EV)用の電池工場を建設する。

 今年3月、同社が米国で巨大電池工場を計画し、候補が2州に絞られたと報道されてから4カ月、カンザスが誘致合戦に勝利した。同社の米国EV電池工場としてはネバダ州に続くもので、中国、韓国勢に対抗して最重要顧客であるテスラとの関係を深めるのが狙いだ。

 誘致で争った相手はオクラホマだった。カンザス州は米国のど真ん中、オクラホマ州はその南、そのまた南にテスラが4月に工場を開設したテキサス州がある。5カ月前、カンザスは10億ドル以上の投資に対して補助金を出す制度を新設し、2カ月遅れでオクラホマも補助金を制度化した。激しい誘致合戦が繰り広げられた。

 同社の米国のEV電池生産は、テスラと共同運営するネバダの工場に続き2カ所目となる。カンザス新工場の稼働は2024年度以降とみられ、和歌山工場(和歌山県紀の川市)で量産実証をしている、高容量で工数も少ない新型電池『4680』を生産する可能性が高い。

 同社の2022年3月期のEV電池売り上げは、前期比45%増の4684億円で、同10%増だった連結売上高の伸びを大きく上回った。だが、競争は厳しい。17年ごろまでパナソニックは車載電池市場で世界首位だったが、いまは4位。中韓メーカーが大型投資で生産能力を急拡大したからだ。

 テスラとの関係も蜜月ではない。テスラは当初、パナソニックからのみ電池を調達していたが、中国の新工場建設などに合わせて中韓勢からも購入し、今春から米国で電池の自社生産も始めている。パナソニックとしては、カンザス新工場でテスラと再接近したいとの思惑がある。

 心配されるのは巨額投資の資金だ。21年3月末までに同社が売却したテスラ株の利益は約4000億円あったが、米ソフト会社ブルーヨンダーを7000億円で買収しており、あてにはできない。それでも「車載電池はいま投資しないと将来がない」(同社関係者)だけに、新工場建設に踏み切った。プレイヤーで居続けるには巨額投資が必要な事業で「投資はカンザスで終わりではない」(同)のは間違いなさそうだ。

 産業構造の転換期にあって、テスラ頼りという構図が浮かび上がる同社である。

【パナソニックHD】楠見雄規が語る”創業者・松下幸之助の思いを今一度”

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