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電力不足で強まる待望論 原子力再稼働は進むか?

財界オンライン / 2022年8月4日 11時30分

生活に不可欠なエネルギーをどう確保していくか

岸田文雄政権は参院選での大勝をテコに、エネルギー政策の「原子力シフト」を進める構えだ。経済産業事務次官出身の首相秘書官・嶋田隆氏が主導し、6月にまとめた2022年版「骨太の方針」に原発を「最大限活用する」と明記。再稼働を巡っては「厳正かつ効率的な審査」という表現で、原子力規制委員会に安全審査の迅速化を促す方針を盛り込んだ。

 規制委員長や原子力規制庁長官の顔触れもそれぞれ「電力の安定供給に向けた原子力の必要性に理解がある人物」(電力業界幹部)に交代。経産省は、次世代型原発の開発に関するロードマップ(工程表)を策定し、長年の懸案である新増設解禁に道筋をつけたい考えだ。

 猛暑による電力需給逼迫を背景に全国で7年ぶりの節電要請が出され、ロシアのウクライナ侵攻で液化天然ガス(LNG)の調達不安も強まる。与党内では原発待望論が広がり、大手メディアの世論調査でも再稼働を支持する声が増えている。

 だが、これまで電力会社側から再稼働に向けた27基の安全審査が申請されているが、「合格」したのは17基にとどまる。特に11年に事故を起こした東京電力福島第1原発と同型の原子炉を持つ原発は審査が長引いている。夏場や冬場の電力不足が常態化する中、政府与党内から審査のスピードアップを求める声が高まっている。

 経産省は電力不足やロシア発のエネルギーショックを逆手に取って、悲願の原子力復権につなげようと動く。政府は現時点で「原発の新増設や建て替えは想定していない」(萩生田光一経産相)とするが、経産省は「国としての展望を早く示さないと、メーカーが次世代型原発開発への投資に二の足を踏み、専門人材もいなくなってしまう」(エネ庁幹部)との危機感を募らせる。

 原発に対する国民の不信感は根強いが、参院選を乗り切り、当面は大型の国政選挙がない「黄金の3年間」に入った岸田首相。2050年脱炭素目標の達成に向けても「発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンな原発の継続的な活用は必須」との立場。日本のエネルギー不足は深刻で、今冬の電力不足も迫っており、原発再稼働が一つのカギを握りそうだ。

【経済産業省】「節電ポイント」上乗せに消費者、電力業界から懐疑論相次ぐ

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