【農林水産省】ウクライナ情勢で高騰 肥料価格の抑制へ7割補助
財界オンライン / 2022年8月16日 11時30分
ロシアによるウクライナ侵攻や中国による輸出規制が響き、化学肥料の価格高騰が続いている。政府は、肥料価格上昇分の7割を補助し、農産物の生産コストを全体で1割下げることを目指す新たな仕組みの導入を決めた。秋以降の農産物価格の上昇を抑え、物価高対策を加速させる考えだ。
日本は化学肥料の原料となる塩化カリウム、リン酸アンモニウム、尿素のほぼ全量を輸入に頼っている。日本のリン酸アンモニウムの輸入量のうち9割を依存する中国は昨年秋に自国への供給を優先するため、輸出規制を導入し、肥料価格の上昇ペースが加速した。
全国農業協同組合連合会(JA全農)は、リン酸アンモニウムの安定確保を実現するため、調達先をモロッコに切り替えるなど対応に追われた。
さらに、ウクライナ情勢が追い打ちを掛けるかのように、肥料原料の争奪戦の激化とさらなる価格高騰という悪循環を招いている。ロシアや、同国の戦争に荷担しているベラルーシは肥料原料の主要な供給国で、日本も一定の調達を依存していた。ただ、各国の関係企業は、両国との取引はリスクがあるとして、輸入をストップする動きが顕在化している。
政府が新たに導入する支援制度の対象は、化学肥料の使用量を2割削減する農家だ。公平性の観点から、これまで肥料削減に努力してきた農家に対しては「2割」という数字にこだわらず、柔軟に支援していく方針。農林水産省幹部は「今こそ化学肥料を使わない有機農業を進めていくべきだ」と強調する。
肥料のみならず、食料供給の安定も脅かされている。ロシアの戦争が引き金となり、小麦や魚介類など、あらゆる品目の値段が上昇、日本でも食品の値上げラッシュが続く。食料自給率(カロリーベース)が37%と先進国で最低水準にある日本は、生産力の強化、備蓄、調達先の多角化の3本柱をベースに、食料安全保障の強化を進める。
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