『ソフトバンク』3兆円の赤字 アリババ株の一部を売却へ
財界オンライン / 2022年8月25日 11時30分
「7兆円あったビジョン・ファンド(ファンド事業)の利益がほぼゼロになった。反省すべき点は数え上げたらきりがないが、今となって振り返ってみれば、自分たちの中で(投資先企業の)評価に対してバブル状態だったのではないかと反省している」
こう語るのは、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏。
同社が2022年第1四半期(4-6月期)の連結決算を発表。3兆1627億円の最終赤字となり、四半期ベースでの赤字額としては、日本企業で過去最大となった。同社は1-3月期にも最終赤字を計上しており、2四半期合計で5兆円を超える赤字となった。
赤字の要因は、米金利上昇をきっかけにした世界的なハイテク株バブル崩壊が直撃し、未上場企業に投資するビジョン・ファンドの運用成績が急激に悪化したことがある。
孫氏は「創業以来、最大の赤字が6カ月間続いており、全社的に聖域のないコストダウンを図らなければならない」として、新規投資を厳選した上、ビジョン・ファンド運営会社の世界規模での人員削減も進めるなど、身をかがめて”冬の時代”をしのぐ考えだ。
一方、同社は保有していた中国アリババ集団の株式の一部を売却すると発表。保有割合は6月末の23・7%から14・6%に低下、アリババは持分法適用会社から除外される見通し。これにより、同社は連結税引き前利益に対し、約4・6兆円の押し上げ効果を見込んでいる。
あるアナリストは「2期連続での通期最終赤字を逃れる可能性が高まるなど、PL(損益計算書)に及ぼす意味合いは大きい。ただ、未上場株の投資残高が大きい分、外部環境次第では再び多額の損失を計上するリスクを否定できない。引き続き金融市場の動向に左右される展開が予想される」と指摘する。
これまで強気な発言を繰り返してきた孫氏だが、今回は「全てはわたしの指揮官としての責任」と語り、すっかり反省モード。逆回転に入った時こそ、その人の本質が現れる。約40年の起業家人生の中で、孫氏も大きな試練に立たされている。
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