不正の影響が広がる日野自動車、「親会社がトヨタ」という甘え
財界オンライン / 2022年9月5日 11時30分
「日々の仕事への反省が足りなかった」─。トラック大手の日野自動車OBは現役時代を振り返ってこう語る。
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今年3月、トラックの量産に必要な型式指定を取得するための認証試験で不正行為を働き、エンジンの排出ガスと燃費を偽っていたことが明らかになった日野。不正が行われた中型と大型トラックなどについては3月から型式指定を取り消され、対象車種は出荷停止になった。
さらに日野の不正はこれだけに留まらなかった。特別調査委員会による調査報告書では、日野が公表していた2016年よりも前の、少なくとも03年以前から不正が続けられていたことが明らかに。これに伴い、不正対象車両も09年以降で56.7万台に上り、公表していた約12万台から大幅に拡大した。
日野の病巣は根深い。16年に三菱自動車の燃費不正が明るみになり、国は自動車メーカーに不正がないか調査を求めたが、日野は「不適切な事案はない」と報告。さらに翌年にも経団連が調査を要請した際でも、日野は不正を報告していなかった。
今回の日野の不正の背景として挙げられているのが、セクショナリズムが強い上に、上意下達の気風が強い組織風土や現場と経営陣の認識のずれ、開発プロセスのチェック機能が不十分といった組織上の弊害だ。
昨年の国内の大型・中型トラックの販売台数は日野が約3.2万台。シェアは30%強と国内トップ。「乱立する乗用車と違い、国内の商用車のライバルは、いすゞ自動車だけ。危機感が末端まで浸透していたかどうかは分からない」(前出のOB)。
日野は01年にトヨタ自動車の子会社になり、車両を提供。電動化でもトヨタのハイブリッド技術や水素技術などで連携を深めていた中で「『親会社がトヨタ』という甘えもあった」(前出OB)。そんな矢先での今回の不正。米国の物流会社からは損害賠償などを求めた集団訴訟を起こされた。
不正の影響が終わりを見せない中、日野には社長の小木曽聡氏をはじめ、自らの襟を正す自浄能力が問われている。
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