『京セラ』創業者の稲盛和夫氏が死去 一代で世界的な電子部品メーカーに
財界オンライン / 2022年9月7日 11時30分
「盛和塾」を主宰し 経営者の育成に心血を注いだ
8月24日、京セラ創業者で名誉会長の稲盛和夫氏が老衰のため亡くなった。享年90歳。
稲盛氏は1932年(昭和7年)鹿児島出まれ。55年鹿児島大学工学部を卒業後、京都の碍子メーカーである松風工業に就職。27歳で京都セラミック(現京セラ)を創業、一代で同社を世界的な電子部品メーカーに育て上げた。
84年には、電気通信事業の自由化に即応して、第二電電企画(現KDDI)を設立。2010年には政府の要請を受け日本航空(JAL)会長に就任。周囲の反対もあったが、稲盛氏は「お国のため、従業員を路頭に迷わせないため」と再建役を引き受け、JAL再生を果たした。
また、1983年から2019年末まで経営塾「盛和塾」を主宰。国内外約1万5千人の経営者が参加する盛和塾の塾長として、経営者の育成に心血を注いだことはあまりにも有名だ。
稲盛氏と言えば、独自の経営管理手法『アメーバ経営』が有名。組織をアメーバと呼ぶ小集団に分け、各リーダーは、それぞれが中心となって自らの計画を立て、メンバー全員が知恵を絞り、努力することで、その目標を達成していく。そうすることで、現場の社員一人ひとりが主役となり、全員参加経営を実現していくという考え。
このアメーバ経営は、京セラをはじめ、KDDIやJALなど、約700社に導入された。
生前、稲盛氏は『財界』誌のインタビューで「企業経営というのは、ヘリコプターのようにプロペラが回って、宙に浮いている状態。常に地球の引力があるから、放っておいたら落ちる。だから努力して、一生懸命にプロペラを回し、宙に浮いていないといけない」と指摘。
その上で、「努力自体は相対的なもので分からない。このくらいでいいだろうと漕いでいたら、実は下がっているかもしれないし、留まっているかもしれない。それでも、本当に上に行きたいと思うのであれば、誰にも負けないように必死で漕ぐしかない」と話していた。
逆境を生き抜くのも意識の持ち様という稲盛哲学。混乱・混迷の現代においても、こうした哲学は企業人の参考になる。
追悼・出井伸之さん(元ソニー会長)
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