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【追悼】安倍晋三・元首相を偲んで はせがわ相談役 長谷川 裕一

財界オンライン / 2022年9月11日 11時30分

長谷川 裕一・はせがわ相談役

最期までお国のために尽くした人だった

 ―― 安倍晋三・元首相の訃報から早くも2カ月が経とうとしています。生前、安倍さんと親交のあった長谷川さんですが、感想を聞かせてもらえませんか。

 長谷川 一言でいうと、本当に残念でなりません。地球儀を俯瞰する外交を実践され、世界における日本の存在感を高めましたし、いわゆる、アベノミクスで日本経済の立て直しを図ったことは大きな功績であったかと思います。

 これほどの功績を残された政治家が今までいたのか分かりませんが、わたしは安倍さん以外に誰も思い浮かびません。それくらい痛恨の極みであります。

 ―― 我が国の憲政史上最長となる安定政権をつくったことは評価していいですね。

 長谷川 ええ。最初に事件の一報を聞いた時、安倍さんには申し訳ないけれども、わたしは国民の覚醒のために人柱になられたなと思いました。

 様々な政治改革や決断をするには、政界、産業界、マスコミを含めて多くの反対がありますよね。それでも安倍さんは改革を断行するため、かつての吉田松陰先生と同じように自らの命を捧げて、無血革命を起こそうと。自らもそうした役目と使命をいただいたのだという思い。それは、日頃から覚悟されていたのではないかと思うんですね。

 しかも、安倍さんが撃たれた場所を聞いたら、橿原(奈良)だというので、国の始まりの場所ですよね。近くには西大寺、東大寺、薬師寺、法隆寺があって、そして、安倍さんが搬送された病院も神武天皇が建国の詔を発せられた橿原神宮の近所だというのですから、何だか最期までお国のために尽くした人だったという感じがします。

追悼・出井伸之さん(元ソニー会長)



 ―― それは普段から長谷川さんが感じていたことですか。

 長谷川 はい。それと、安倍さんが亡くなられて1週間くらいした日の深夜ですが、なぜか3時くらいにわたしは目が覚めまして、弔いや感謝の言葉が出てくるんです。

 わたしも長い間生きていますが、こんな体験は初めてのことで、もう一度寝ようかと思ったんですが、ふと手紙にしたためて奥様の昭恵さんに渡そうと考えました。それで寝床から起き上がり、一気に懐紙にしたためまして、先日、昭恵さんにお渡ししたところです。

 ―― 葬儀の際の挨拶で、昭恵さんが「政治家としてやり残したことはたくさんあったと思うが、種をいっぱいまいているので、それが芽吹くことでしょう」という言葉は心に染みますよね。

 長谷川 ええ。安倍さんはどんなことがあっても昭恵さんを守ってくれたと。これはわたしも泣けましたよ。

 安倍さんは本当に賢い方で、言うべきことは言い、このタイミングで言ってはいけないことは言わない。政治的な手順を絶対に間違えない方でしたし、決して自分のことを自慢なさることはありませんでした。この辺の人の良さが多くの人を惹きつけたのではないかと思います。

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