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【農林水産省】大臣に農政通の野村氏  食料安保強化に全力を注ぐ

財界オンライン / 2022年9月15日 11時30分

8月10日の内閣改造に伴い、金子原二郎農林水産相が退任し、後任に野村哲郎氏(参院鹿児島)が就任した。自民党内きっての農政通として抜擢された野村氏は、ロシアによるウクライナ侵攻で揺らぐ食料安全保障の抜本的強化に全力を注ぐ。

 野村氏は1969年に鹿児島県農業協同組合中央会に入会、常務理事などを経て2004年に退職した。同年の参院選で初当選し、農水政務官や参院農水委員長のほか、党農林部会長を17年から3年間務めるなど、政府や党の農林関係の要職を歴任。農林族議員の重鎮として政府・与党の農業政策の決定に強い影響力を持つ党農林インナーを長年担ってきた。

 野村氏は7月の参院選で4選を果たした。選挙期間中、「農家だけでなく国民全体の問題だ」と主張し、食料安保の強化の重要性を有権者に訴えた。

 自民党は5月、ウクライナ侵攻などを踏まえ、食料安保予算の創設などを柱とした提言を取りまとめた。国内生産の増大を基本としつつ、食料の備蓄や調達先の多角化を組み合わせて、有事に対応できる体制の構築を急ぐ。

 食料安保の関連予算を巡っては、23年度当初予算の概算要求では、金額を示さない「事項要求」とした。政府・与党は、秋にも編成される22年度第2次補正予算で必要経費の確保を目指している。

 当初予算は既存政策の経費が大半を占め余裕がないことから、目玉政策に予算は補正で獲得する傾向が近年定着しつつある。例えば、環太平洋パートナーシップ連携協定(TPP)に関連した農業対策予算は3000億円超を毎年のように計上している。

 補正では一定規模の予算を確保できる半面、緊縮路線に転じた場合は関連経費が削減されるリスクもつきまとう。生産性の向上などを軸とした食料安保の強化は平時からの備えが重要で、5〜10年単位の長期スパンを見通した施策展開が欠かせない。

 野村氏は農政の専門家として政策立案や予算確保を実現できるか手腕が問われる。

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