三井住友FGがネット銀行で激戦の米国リテール金融に参入
財界オンライン / 2022年9月12日 18時0分
三井住友フィナンシャルグループ(FG・太田純社長)がネット銀行を通じて米国のリテール(個人向け)金融に参入。三井住友銀行傘下で、カリフォルニア州ロサンゼルスに本拠を置くマニュファクチャラーズ銀行の一部門としてネット銀行「ジーニアス・バンク」を立ち上
げ、来年からサービスを開始する。
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米リテール市場を巡っては、三菱UFJフィナンシャル・グループが昨秋、長い伝統を持つMUFGユニオンバンクの個人部門の売却を発表。仏BNPパリバも同12月に傘下の米カリフォルニア州の地銀をカナダ金融大手に売却することを決めるなど、非米国勢の撤退が目立つ。
そんな中、三井住友FGの今回の動きは〝逆張り〟のようにも映るが、店舗を持たずコストを抑えたデジタル金融に特化した「チャレンジャーバンク」としてスマートフォン世代を取り込むことで「勝算は十分にある」(三井住友FG関係者)と見ているようだ。
基軸通貨であるドルを抱え、個人の資金需要も旺盛な米国市場への参入は、そんな三井住友FGの成長戦略上、重要課題だったようだ。3年前から検討を進めてきたという。
課題はシステムのコストを抑えながら、データを活用した競争力の高いサービスを提案できるかどうか。「ジーニアス・バンク」は当初、個人向け無担保ローンの提供から始めるが、貯蓄性預金や住宅ローン、クレジットカードなど順次、品ぞろえを広げていく考え。
将来的には投資信託など運用商品の販売も手掛けるフルラインのネット銀行を目指している。スマホアプリで集めたデータを活用し、結婚、子供の進学などライフステージに合わせた金融サービスを提案していくことも検討しており、10年後には預金や貸出金が数兆円規模の有力ネット銀に育て、年間数百億円の収益を生むことを目指す。
先行組の三菱UFJFGが店舗や人員の重荷に耐え切れず米リテール市場から撤退手続きを進める中、デジタル技術の進展が後発組の三井住友FGの背中を押した形。激戦の中、存在感を示すことができるか。
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